カレントテラピー 31-7 サンプル

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58 Current Therapy 2013 Vol.31 No.7724強い低K血症などの傾向が報告されている.腫瘍径に関しては,一定の報告がない4).Ⅵ 本邦におけるアルドステロン産生腺腫のKCNJ5変異の特徴筆者らは,本邦におけるAPAに関しKCNJ5変異について検討した.APA 23例のうちKCNJ5変異は15例(約66%)と欧米と比較し明らかに高率変異が認められた.さらに新たな変異p.G151R,c.451G>Cを発見した(図2).最近の北本らの報告でも60例中42例(70%)にKCNJ5変異を認め16),Monticoneらの日本人5例の報告では全例にKCNJ5 変異を認めている14).これらの事実から,欧米と比較し本邦のAPAはKCNJ5変異症例が高率であることがわかる.さらに,欧米では変異症例は女性に多く,筆者らの変異症例の23例中において女性は13例で,明らかな性差は認めなかった.しかし,変異をもつ症例は,若年発症で,血漿アルドステロン濃度が高く,低カリウム血症も重症であることは欧米の傾向と同様であった.また筆者らの検討では,APAにコルチゾールの自律性分泌を合併する例でもKCNJ5変異を認め,クッシング症候群を示すコルチゾール産生腫瘍ではKCNJ5 変異を認めないことから,コルチゾール産生を合併するAPAもAPA由来であると考えられた.さらに興味深いことに,コルチゾールの自律性分泌の指標を全く認めないAPAでは全例でKCNJ5変異を認めた17), 18).また,筆者らの検討においてKCNJ5 遺伝子に変異を有するAPAでは,変異のないAPAと比較して2KCNJ5/GAPDH mRNAKCNJ5/GAPDH mRNA54.662.49野生型KCNJ5変異p=0.0081.1610野生型KCNJ5変異A B2105Pheop=0.001p=0.0104.66CAPAs Cushing図3各種副腎腫瘍におけるKCNJ5の発現A:KCNJ5変異を認めないAPA(野生型)およびKCNJ5変異を認めるAPA(KCNJ5変異)の腫瘍組織におけるKCNJ5 mRNA発現量をリアルタイムPCRにて測定した.p:2群間の危険率B:野生型およびKCNJ5変異をもつAPAにおけるKCNJ5免疫組織学的染色.Aにおいて矢印で示された検体を使用.mRNAレベルと相関し変異例では強い発現を認める.C:各種副腎腫瘍におけるKCNJ5mRNA発現量の比較APAs:アルドステロン産生腺腫Cushing:クッシング症候群(コルチゾール産生腫瘍)Pheo:褐色細胞腫〔参考文献17)より引用〕