カレントテラピー 31-6 サンプル

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80 Current Therapy 2013 Vol.31 No.6638CKD啓発活動においては,尿検査の重要性を強調する必要があると考える.Ⅳ 血圧管理に関する変化血圧の管理が腎予後だけでなく心血管疾患(cardiovasculardisease:CVD)発生を抑制し生命予後も改善することは広く認識されている.CKD診療において,適正な血圧管理は中心的な課題である.今回の『CKD診療ガイド2012』では血圧管理にも重要な変更がなされた.第一の要点は,管理目標値が130/80mmHg以下となったことである.『CKD診療ガイド2009』では,降圧目標はCKD一般で130/80mmHg未満,糖尿病あるいは1g/日以上のタンパク尿がある場合には125/75mmHg未満となっていた.今回の改定で,管理目標値が上方修正されている.以前から,過度の降圧が心筋梗塞や死亡率を上昇させること(Jカーブ)が懸念されていたが,2009年以降CKD患者の血圧管理に関していくつかの動きがあった.2009年に報告されたCVD高リスク患者への介入試験(ONTARGET)のサブ解析では,降圧後の収縮期血圧130mmHg付近で最もCVD発症リスクが低いという結果であった4).また,2010年に報告されたアフリカ系米国人の腎硬化症を対象としたAASK Extension研究においては,タンパク尿(尿タンパククレアチニン比>0.22)を有する症例では厳格な降圧群(目標血圧125/75mmHg未満)のほうが緩徐な降圧群(目標血圧140/90mmHg未満)よりもCKDの進行を抑制したが,タンパク尿のない症例では両者に差がないという結果であった5).しかし,非糖尿病合併CKD患者を対象とした3つの糖尿病合併CKD,軽度以上のタンパク尿を呈する糖尿病非合併CKD第一選択薬第二選択薬第三選択薬RAS阻害薬(ARB,ACE阻害薬)●すべてのCKDステージにおいて投与可能●ただし,CKDステージG4,G5,高齢者CKDでは,まれに投与開始時に急速に腎機能が悪化したり,高K血症に陥る危険性があるので,初期量は少量から開始する●降圧が認められ,副作用がない限り使い続ける降圧薬の種類を問わないので,患者の病態に合わせて降圧薬を選択RAS阻害薬(ARB,ACE阻害薬)●すべてのCKDステージにおいて投与可能●ただし,CKDステージG4,G5,高齢者CKDではまれに投与開始時に急速に腎機能が悪化したり,高K血症に陥る危険性があるので,初期量は少量から開始する長時間作用型Ca拮抗薬●すべてのCKDステージにおいて投与可能●CVDハイリスク,Ⅲ度高血圧症例に考慮利尿薬●体液過剰(浮腫)に考慮(サイアザイド系利尿薬)●原則CKDステージG1~G3(CKDステージG4~G5ではループ利尿薬との併用可)(長時間作用型ループ利尿薬)●CKDステージG4~G5そのほかの降圧薬●β遮断薬,α遮断薬,中枢性交感神経遮断薬など●降圧薬の単独療法あるいは3剤までの併用療法にて降圧が認められ,副作用がない限り使い続ける正常タンパク尿の糖尿病非合併CKDCVDハイリスク,Ⅲ度高血圧体液過剰(浮腫)長時間作用型Ca拮抗薬●すべてのCKDステージにおいて投与可能●尿タンパク減少効果のあるCa拮抗薬を考慮サイアザイド系利尿薬●原則CKDステージG1~G3(CKDステージG4~G5ではループ利尿薬との併用可)長時間作用型ループ利尿薬●CKDステージG4~G5利尿薬長時間作用型Ca拮抗薬これまでのステップで,降圧目標が達成できなければ専門医へ紹介図2 CKD合併高血圧に対する降圧薬の選択〔参考文献1)より引用改変〕