カレントテラピー 31-6 サンプル

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78 Current Therapy 2013 Vol.31 No.6636う患者が,eGFRのみで同じカテゴリーに分類されてしまうという問題も指摘されていた.今回の新分類では,CKDを原因,アルブミン尿(タンパク尿),腎機能の3つで区分することが提唱された.これにより,例えば「尿所見のない高齢の腎硬化症患者」と「ネフローゼレベルのタンパク尿を伴う糖尿病性腎症患者」が区分可能となった.一方,KDIGO新分類ではアルブミン尿の程度に従い,A1(正常),A2(微量アルブミン尿),A3(顕性アルブミン尿)に区分することが提唱されている.しかし,日本では糖尿病患者にしか微量アルブミン尿測定の保険適用がないため,日本独自の工夫として,それぞれのアルブミン尿レベルに相当するタンパク尿の程度により,A1~A3に分類することが提原疾患蛋白尿区分A1 A2 A3糖尿病尿アルブミン定量(mg/日)尿アルブミン/Cr比(mg/gCr)正常微量アルブミン尿顕性アルブミン尿30未満30~299 300以上高血圧腎炎多発性嚢胞腎腎移植不明その他尿タンパク定量(g/日)尿タンパク/Cr比(g/gCr)正常軽度タンパク尿高度タンパク尿0.15未満0.15~0.49 0.50以上GFR区分(mL/分/1.73m2)G1 正常または高値≧90G2 正常または軽度低下60~89G3a 軽度~中等度低下45~59G3b 中等度~高度低下30~44G4 高度低下15~29G5 末期腎不全(ESKD) <15表1CKDの重症度分類重症度は原疾患・GFR区分・タンパク尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを■のステージを基準に,■,■,■の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する.(KDIGO CKD guideline 2012を日本人用に引用改変)〔参考文献1)より引用改変〕HR(95%Cl)1684210.5HR(95%Cl)16842115 30 45 60 75 90 105 1200.5eGFR(mL/分/1.73m2)a 死亡1684210.516842115 30 45 60 75 90 105 1200.5eGFR(mL/分/1.73m2)b 心血管死顕性アルブミン尿微量アルブミン尿正常アルブミン尿尿タンパク2+以上尿タンパク1+以上尿タンパク-または±死亡および心血管死の相対リスク図1尿検査と予後死亡および心血管死亡の相対リスクは,腎機能の低下,または尿タンパクの増加の独立した危険因子である.また,その相対リスクは,尿タンパクが,微量アルブミン尿,顕性アルブミン尿(macroalbuminuria)と増加するに従って上昇する.尿タンパクは尿アルブミン/クレアチニン比で評価するが,検尿試験紙によっても同等のリスクを推定できる.さらに,その相対リスクはGFR 60mL/分/1.73m2未満より上昇し,腎機能が低下するに従って増加する.a:死亡の相対リスク,b:心血管死の相対リスク(Matsushita, et al:Lancet;375:2073-2081, 2010より引用改変)〔参考文献1)より引用改変〕