カレントテラピー 31-6 サンプル page 22/32
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カレントテラピー 31-6 サンプル
Current Therapy 2013 Vol.31 No.6 77635Ⅰ はじめに2002年に米国のKidney Diseases Outcomes QualityInitiative(K/DOQI)ガイドラインで慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)という概念が提唱されて10年が経過した.腎臓病対策の国際組織であるKidney Disease:Improving Global Outcomes(KDIGO)から,2012年8月に『CKDにおける貧血』,12月に『CKDにおける血圧管理』,そして2013年1月に『CKDの評価と対策』と3つのガイドラインが相次いで発刊された.本邦でも2012年6月に日本腎臓学会から『CKD診療ガイド2012』が発刊され,2013年5月にはエビデンスに基づく『CKD診療ガイドライン』が公表予定となっている.現在,CKD活動は新たなステージに進もうとしている.本稿ではCKDの重症度分類と血圧管理に焦点を絞って,腎臓病治療の変化について概説する.Ⅱ 新しいCKD重症度分類『CKD診療ガイド2012』1)では,KDIGO提唱の新分類2)に合わせる形でCKD重症度分類が改定された(表1).主な変更点は二つ.ひとつは従来推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)が60~30(mL/分/1.73m2)と幅が広かったステージ3が45を境にG3aとG3bの二つに区分されたことである.20歳以上の日本人ではG3aが9.2%,G3bが1.2%と推計されている.この分割は診療の実情に合わせたものであり,変更はおおむね好意的に受け止められている.もう一つは重症度分類にアルブミン尿(タンパク尿)が盛り込まれたことである.従来は,eGFRのみを用いる分類であり,この単純明快さがCKDを一般に普及するのに大きな威力を発揮したといえる.しかし,臨床の現場では当初から明らかに予後が違新しいCKD診療ガイドにおける腎臓病治療の変化丸山彰一** 名古屋大学大学院医学系研究科病態内科学講座腎臓内科学准教授腎臓病の up to date―病態に基づいた治療の最前線2012年,日本腎臓学会から『CKD診療ガイド』が発刊された.このなかで,新しい慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)重症度分類が提唱されている.主たる変更点は,ステージ3がG3aとG3bに区分されたことと,アルブミン尿(あるいはタンパク尿)でA1,A2,A3に分類されたことである.今回の改定では,尿検査の重要性が改めて強調されている.血圧管理においては,管理目標値が130/80mmHg以下とやや上方修正された.また,糖尿病やタンパク尿のない患者では,必ずしもレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬を第一選択としないことも重要な変更点である.特に高齢者における過度の降圧についても注意喚起されている.こうした改定を臨床に活かし,日本の腎臓病治療をよりよいものにしていくことが期待される.a b s t r a c t