カレントテラピー 31-6 サンプル

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44 Current Therapy 2013 Vol.31 No.6602用が血圧依存性であるのに対し,RA系阻害薬は単に血圧を下げるのみでなくRA系を抑制することで腎保護を得られることを指し示すものである.RA系阻害薬は尿アルブミン,尿タンパク量を減少させ,全身血圧に依存しない腎保護効果があることが示されているが,十分な降圧を達成することにより,さらに大きな効果が得られる.130/80mmHg以上であれば,生活習慣の改善とともに薬物療法を開始し,血圧値と尿アルブミン,尿タンパク量の変化を観察する.かつて,ACE阻害薬は進行した腎機能低下例には禁忌とされていたが,腎保護作用はむしろ腎機能低下例で顕著であることが明らかにされている16).血清クレアチニン(Cr)値が2mg/dL以上の場合であっても,血清Cr値やK値に注意しながら少量から投与し,漸増することが推奨される.RA系阻害薬は全身血圧を降下させるとともに輸出細動脈を拡張させるため,糸球体濾過率(glomerular filtration rate:GFR)が低下する場合がある.しかし,この低下は腎組織障害の進展を示すものでなく,投与中止でGFRが元にもどる機能的可逆的変化である.たとえ投与初期に腎機能の軽度低下がみられても,むしろ長期的にみると腎保護作用を示すものであり,以降の腎機能は保持される.タンパク尿減少,GFR低下はいずれも糸球体血圧の低下を反映していると理解し,血清Cr値の上昇が30%以下の場合,そのまま経過観察とする.2)Ca拮抗薬長時間作用型Ca拮抗薬の腎保護効果に関してはエビデンスに乏しい.L型Ca拮抗薬は輸入細動脈を輸出細動脈に比し拡張させるため,全身血圧を十分に低下させなければ,むしろ糸球体内圧を上昇させる結果となる.したがって,腎症合併高血圧に対し,Ca拮抗薬を投与する際は十分に全身血圧を低下させることが必要不可欠となる.臨床的に,降圧目標達成のために,Ca拮抗薬を含めた多剤併用療法が必要となる場面がある.ARBとCa拮抗薬の併用は,ARBの増量よりも降圧および尿アルブミン減少効果糖尿病合併CKD,軽度以上のタンパク尿を呈する糖尿病非合併CKD正常タンパク尿の糖尿病非合併CKDRAS阻害薬(ARB,ACE阻害薬)・ すべてのCKDステージにおいて投与可能・ ただし,CKDステージG4,G5,高齢者CKDでは,まれに投与開始時に急速に腎機能が悪化したり,高K血症に陥る危険性があるので,初期量は少量から開始する.・ 降圧が認められ,副作用がない限り使い続ける降圧薬の種類を問わないので,患者の病態に合わせて降圧薬を選択RAS阻害薬(ARB,ACE阻害薬)・すべてのCKDステージにおいて投与可能・ただし,CKDステージG4,G5,高齢者CKDでは,まれに投与開始時に急速に腎機能が悪化したり,高K血症に陥る危険性があるので,初期量は少量から開始する.長時間作用型Ca拮抗薬・すべてのCKDステージにおいて投与可能・CVDハイリスク,Ⅲ度高血圧症例に考慮利尿薬・体液過剰(浮腫)症例に考慮 サイアザイド系利尿薬・原則CKDステージG1~G3(CKDステージG4~G5ではループ利尿薬との併用可) 長時間作用型ループ利尿薬・CKDステージG4~G5そのほかの降圧薬・β遮断薬,α遮断薬,中枢性交感神経遮断薬など・降圧薬の単独療法あるいは3剤までの併用療法にて降圧が認められ,副作用がない限り使い続ける.CVDハイリスク,Ⅲ度高血圧体液過剰(浮腫)長時間作用型Ca拮抗薬・ すべてのCKDステージにおいて投与可能・ 尿タンパク減少効果のあるCa拮抗薬を考慮サイアザイド系利尿薬・原則CKDステージG1~G3(CKDステージG4~G5ではループ利尿薬との併用可)長時間作用型ループ利尿薬・CKDステージG4~G5長時間作用型Ca拮抗薬第一選択薬第二選択薬利尿薬第三選択薬これまでのステップで,降圧目標が達成できなければ専門医へ紹介図CKD合併高血圧の治療における降圧薬の選択