カレントテラピー 31-6 サンプル

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42 Current Therapy 2013 Vol.31 No.6600Ⅳ CKD重症度分類の改訂2007年発行の『CKD診療ガイド』では,腎症は存在するが腎機能は正常な時期をステージ1として独立させた.腎機能が正常でも腎症の存在はCVDの危険因子であり,そのことを十分に認識し,生活習慣の改善,食事指導,血圧管理など,早期の対応が重要であるとされた.その後,心血管イベント発症の相対危険度は腎機能だけでなく,尿タンパク量の多少によって異なることが示された.また腎機能が同等のとき,尿タンパク量が多ければ多いほど,心血管イベント発症が増加することが明らかになった10).そこで,2012年にKidney Disease:ImprovingGlobal Outcomes(KDIGO)によるCKDの重症度分類が改訂され,『CKD診療ガイド2012』が日本腎臓学会から出版された.CKDの診断基準は変わらず,重症度分類が変更された.CKDの重症度は原因(Cause:C), 腎機能(GFR:G), タンパク尿(Albuminuria:A)によるCGA分類で評価することとなった(表).さらに,CKDステージ3は3a〔推定糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)45~59mL/分/1.73m2〕,3b(eGFR 30~44mL/分/1.73m2)に分割され,末期腎不全,心血管死亡ともにG3aとG3bで有意にリスクが異なることも示された11).Ⅴ CKD合併高血圧に対する治療1 生活習慣の修正CKD合併高血圧の治療に際し,生活習慣の改善は重要である.食事指導による食塩制限,タンパク制限,アルコール制限,理想体重の維持,および適正な運動や禁煙などを個々の患者に対し指導する.適正体重の維持は血圧,腎機能に重要であることは以前から報告されていた.末期腎不全やタンパク尿の発症に肥満が関与し,減量により尿タンパクが減少すると報告されている12).血圧の管理と腎機能障害の進展を抑制するために原疾患タンパク尿区分A1 A2 A3糖尿病尿アルブミン定量(mg/日)尿アルブミン/Cr比(mg/gCr)正常微量アルブミン尿顕性アルブミン尿30未満30~299 300以上高血圧腎炎多発性嚢胞腎移植腎不明,その他尿タンパク定量(g/日)尿タンパク/Cr比(g/gCr)正常軽度タンパク尿高度タンパク尿0.15未満0.15~0.49 0.50以上GFR区分(mL/分/1.73m2)G1正常または高値≧90G2正常または軽度低下60~89G3a軽度~中等度低下45~59G3b中等度~高度低下30~44G4 高度低下15~29G5末期腎不全(ESKD)<15表CKD重症度分類の改訂重症度は,原疾患・GFR区分・タンパク尿区分を合わせたステージにより評価する.CKDの重症度は死亡,末期腎不全,心血管死亡発症のリスクを■のステージを基準に,■,■,■の順にステージが上昇するほどリスクも上昇する.(KDIGO CKD guideline 2012を日本人用に引用改変)