カレントテラピー 31-6 サンプル

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40 Current Therapy 2013 Vol.31 No.6598Ⅰ はじめに高血圧は慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の原因となり,CKDの病態を悪化させる一方,CKDが高血圧の原因ともなり,CKDと高血圧には密接な関係がある1).糖尿病合併高血圧患者に対し,血糖コントロール,血圧コントロールとも重要であることはいうまでもないが,厳格な血糖コントロールを行った群に比較し,厳格に血圧をコントロールした群のほうが,心血管イベントの発症を大幅に低減するという報告がされた2).CKD合併高血圧の治療に際し,高血圧の早期診断と適切,かつ迅速な降圧治療が,CKDの進行,末期腎不全への進展抑止のためにとりわけ重要であるといえる.本稿では,CKD合併高血圧に対する降圧薬使用に関する記述を中心に概説する.Ⅱ 心腎連関腎機能低下や尿タンパクは末期腎不全の危険因子降圧薬徳山博文*1・伊藤 裕*2高血圧は慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の原因となり,CKDの病態を悪化させる.また,CKDが高血圧の原因ともなり,CKDと高血圧にはお互いがお互いを増悪させる関係がある.CKD合併高血圧の治療に際し,高血圧の早期診断と適切,かつ迅速な降圧治療が,CKDの進行,末期腎不全への進展抑止のためにとりわけ重要であるといえる.『CKD診療ガイド2012』では,CKD患者の降圧目標が新たに決定され,新しい血圧の管理目標は130/80mmHg以下であり,従来よりも緩和された.また,高齢者の降圧治療については特に配慮され,140/90mmHgを目標に降圧し,腎機能悪化や臓器障害がみられないことを確認したうえで,130/80mmHg以下に慎重に降圧する.使用する降圧薬に関して,糖尿病患者およびタンパク尿0.15g/日以上(アルブミン尿30mg/日以上)のタンパク尿を有する患者において,第一選択の降圧薬はアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)である.尿タンパクが0.15g/日未満の非糖尿病患者には,降圧薬の種類を問わない.さらに,季節による血圧の変動や,血圧日内変動を考慮して,家庭血圧や24時間血圧を参考に治療することが望ましい.一日2回など複数回服用による血圧安定,および眠前に降圧薬を服薬することで,心血管疾患の発症を抑制できることが報告されている.降圧目標を達成するために降圧薬の追加が必要な場合はCa拮抗薬,利尿薬を中心に個々の症例に合わせ追加すべきである.*1 慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科専任講師*2 慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科教授腎臓病の up to date―病態に基づいた治療の最前線