カレントテラピー 31-5 サンプル

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84 Current Therapy 2013 Vol.31 No.5538期的効果が確認されているが,UPLIFT試験のような大規模長期臨床試験は行われていないため,長期的な臨床効果に関しては今後の検討結果が待たれる.3 LAMAの副作用・禁忌現在用いられているLAMAはいずれも吸入薬であるが,抗コリン作用により口渇,尿閉,眼圧上昇などをきたすことがある.そのため閉塞隅角緑内障患者や排尿障害を伴う前立腺肥大症症例には禁忌とされている.また,抗コリン薬の使用と死亡率に関してのいくつかの報告がある18),19).UPLIFT試験においては,チオトロピウム群(約3,000例)で4年間の経過観察中の心血管系の副作用や死亡率はプラセボ群と比較して有意に低かったとされる一方で,血中濃度が上昇しやすいレスピマット?では死亡率が上昇するとのメタ解析の報告がある.これらの問題に対する結論は出ていないため,臨床医はすでに確認されている効果と懸念されるリスクを判断し,使用していく必要がある.Ⅳ おわりにLABAとLAMAはCOPD治療薬としての効果が明確に示されているが,他のCOPD治療薬と同様,アドヒアランスの低さが問題である.比較的アドヒアランスがよいとされるチオトロピウムですら開始1年後の継続率は40~50% 前後とされており,LABAに対するアドヒアランスはさらに低い.われわれの検討では,COPDの重症度に加えて治療開始早期の症状改善効果がアドヒアランスに大きく影響することが明らかになった(未発表データ).それだけに,アドヒアランスを高めるためには,①症状改善効果の高い薬剤を使う,②症状改善効果が乏しい場合は積極的に薬剤の変更あるいは併用を考慮する,などの対策が考えられる.最近発売されたインダカテロールやグリコピロニウムなどの薬剤は,気管支拡張効果が強くかつ効果発現が迅速であるために,より多くの患者で症状改善効果が得られる可能性がある.さらに近い将来,LABA/LAMA配合剤も使用できる見込みであり,その使い方も今後の重要な検討課題である.最近の報告では,中等症から重症のCOPD患者を対象としたILLUMINATE試験20)で,LABA/LAMA配合剤(インダカテロール/グリコピロニウム)が吸入ステロイド薬/LABA配合剤(サルメテロール/フルチカゾン)を上回る呼吸機能や自覚症状の改善効果を有することが報告された.さらに1日あたりの吸入回数,吸入デバイスの使いやすさもアドヒアランスに影響し得ることから,今後はさまざまな選択肢のなかから個々の患者にあわせた薬剤・吸入デバイスを選択することが重要となるであろう.参考文献1)Tashkin DP, Fabbri LM:Long -acting β-agonists in themanagement of chronic obstructive pulmonary disease:currentand future agents. Respir Res 11:149, 20102)Calverley PM, Anderson JA, Celli B, et al:Salmeterol andfluticasone propionate and survival in chronic obstructivepulmonary disease. N Engl J Med 356:775-789, 20073)Wang J, Nie B, Xiong W, et al:Effect of long-acting β-agonistson the frequency of COPD exacerbations:a meta-analysis.J Clin Pharm Ther 37:204-211, 20124)Kornmann O, Dahl R, Centanni S, et al;INLIGHT - 2(Indacaterol Efficacy Evaluation Using 150-μg Doses withCOPD Patients)study investigators:Once-daily indacaterolversus twice -daily salmeterol for COPD:a placebo -controlledcomparison. Eur Respir J 37:273-279, 20115)Dahl R, Chung KF, Buhl R, et al;INVOLVE(INdacaterol:Value in COPD:Longer Term Validation of Efficacy andSafety)Study Investigators:Efficacy of a new once-dailylong-acting inhaled β2-agonist indacaterol versus twicedailyformoterol in COPD. Thorax 65:473-479, 20106)Donohue JF, Fogarty C, Lotvall J, et al;INHANCE StudyInvestigators:Once -daily bronchodilators for chronicobstructive pulmonary disease:indacaterol versus tiotropium.Am J Respir Crit Care Med 182:155-162, 2010一般名商品名投与経路作用持続時間最大効果到達時間選択性(M2:M3)チオトロピウムスピリーバ? 吸入24時間3時間2.09グリコピロニウムシーブリ? 吸入24時間2時間7.76表2長時間作用型抗コリン薬〔参考文献10),11)より引用改変〕