カレントテラピー 31-5 サンプル

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82 Current Therapy 2013 Vol.31 No.5536レスR),貼付薬であるツロブテロール(ホクナリンRテープ)があり,表1にそれぞれの特徴をまとめた.サルメテロール,ホルモテロールは吸入ステロイド薬との合剤としても用いられ,サルメテロール/フルチカゾン(アドエアR),ホルモテロール/ブデソニド(シムビコートR)として主に重症COPD患者に用いられている.1 サルメテロール,ホルモテロール本邦で使用されている1日2回吸入タイプのLABAである.サルメテロールはサルブタモールのアナログで,長い側鎖をもち脂溶性が高いために細胞膜に取り込まれ,徐々に拡散して長い作用持続時間を示す.一方,ホルモテロールは中等度の脂溶性をもち,細胞膜に取り込まれるだけでなく一部は細胞膜外に遊離化合物として存在するため作用発現が速いのが特徴である.一方で細胞膜分画に取り込まれたホルモテロールは徐々に遊離し,長時間の持続作用を示す.TORCH試験2)をはじめとする臨床試験で,これらの薬剤に気流閉塞や肺過膨張の改善,自覚症状の改善,QOLの改善,運動耐容能の改善効果があることが証明された.増悪予防に関しては,単剤でもサルメテロールはプラセボと比較して有意な増悪抑制効果を認めたが,ホルモテロールに関しては有意差を認めないとの報告もある3).一方で,吸入ステロイド薬を併用するといずれの薬剤もLABA単剤に比べて気管支拡張効果が高く,有意な増悪抑制効果も得られる.そのため,吸入ステロイド薬使用に伴う肺炎のリスクには注意を要するものの,増悪を繰り返す患者ではLABAと吸入ステロイド薬との合剤の使用が勧められる.2 インダカテロールインダカテロールは初の1日1回吸入投与が可能なLABAであり,本邦では2011年に発売された.その超長時間作用性からUltra -LABAともいわれる.中等症から重症のCOPD患者を対象にしたINLIGHT-2試験4)やINVOLVE試験5)で,インダカテロールはサルメテロールやホルモテロールよりも優れた気管支拡張効果を示した.ただし,サルメテロール/ホルモテロールと吸入ステロイド薬との配合剤とインダカテロールを比較したデータはない.また,チオトロピウムと比較した試験でも同等の気管支拡張作用が示されている6).さらに,インダカテロールは作用発現が早い薬剤であり,かつ1日あたりの吸入回数が少なくて済むことから,アドヒアランスの向上が期待されている.3 ツロブテロール貼付薬ツロブテロール貼付薬は本来の作用持続は10時間程度のツロブテロールを徐放性貼付薬とすることで24時間以上の作用時間を達成したユニークな経皮吸収型気管支拡張薬である.本邦で発売後,韓国や中国でも承認発売されている.吸入薬に比べ気管支拡張作用は劣るものの,著しい低肺機能や認知機能低下などのために適切な吸入手技が実施困難な症例にはよい適応と考えられる.4 LABAの副作用LABAでは動悸,頭痛,振戦などを認めることがあるが,短時間作用型β2刺激薬(short acting β2agonist:SABA)に比べβ2受容体への選択性が高く,さまざまな臨床試験においても忍容性は良い7).またCOPD患者において慢性心不全はよくみられる併存症であり,心血管系への副作用が懸念されるが,サルメテロールやホルモテロールではその安全性が示されている.喘息患者においてはLABA単剤治療で死亡率が上昇したとの報告があるが,COPD患者においては,一般名商品名投与経路作用持続時間作用発現時間選択性(β1:β2)固有活性サルメテロールセレベント? 吸入12時間15分3,000 0.41ホルモテロールオーキシス? 吸入12時間5分150 0.95インダカテロールオンブレス? 吸入24時間5分16 0.86ツロブテロールホクナリン?テープ経皮24時間- - -表1長時間作用型β2刺激薬〔参考文献1)より引用改変〕