カレントテラピー 31-5 サンプル

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Current Therapy 2013 Vol.31 No.5 81535Ⅰ はじめに安定期慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructivepulmonary disease:COPD)に対する薬物治療としてガイドラインでは,長時間作用型β2刺激薬(long acting β2 agonist:LABA)や長時間作用型抗コリン薬(long acting muscarinic antagonist:LAMA)などの長時間作用性気管支拡張薬の使用が推奨されている. 重症度に応じてLABAとLAMA,あるいはLABAと吸入ステロイド薬との併用療法も考慮される.これらの薬物療法は,COPD患者の症状軽減や増悪予防,QOLや運動耐容能の改善に有用であり,長期大規模研究の結果から呼吸機能の経年変化や生存率についても効果が期待できることが明らかになった.新たなLABAやLAMAが登場することで選択肢も拡がっており,今後当分はこれらの薬剤がCOPD治療の中心になると思われる.Ⅱ LABAカテコラミンのβ受容体には,主に心筋細胞に発現し心刺激作用を有するβ1受容体,気管支平滑筋細胞などに発現し気管支拡張作用を有するβ2受容体,脂肪細胞に発現し脂肪分解作用を有するβ3受容体が存在する.現在臨床的に用いられているLABAは, いずれもβ2選択性が高い薬剤である(表1)1).本邦で用いられるLABAには,吸入薬であるサルメテロール(セレベントR),ホルモテロール(オーキシスR),インダカテロール(オンブLABAとLAMA友松克允*1・浅野浩一郎*2*1 東海大学医学部内科学系呼吸器内科学助教*2 東海大学医学部内科学系呼吸器内科学教授COPD―その病態と最新治療慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)安定期に用いる第一選択薬として,ガイドラインでは長時間作用型β2刺激薬(long acting β2 agonist:LABA)や長時間作用型抗コリン薬(long acting muscarinic antagonist:LAMA)などの長時間作用型気管支拡張薬が推奨されている.これらの薬物は,COPD患者の症状軽減や増悪予防,QOLや運動耐容能だけでなく,呼吸機能の経年変化や生存率を改善する効果も期待できることが長期大規模試験から明確になった.わが国においては,従来から使用されていたサルメテロール(LABA),ツロブテロール貼付薬(LABA),チオトロピウム(LAMA)に加えて,2011年にインダカテロール(LABA)が,2012年にホルモテロール(LABA)とグリコピロニウム(LAMA)が発売となった.このようにCOPD治療薬の選択肢が増えただけに,その特徴を理解したうえでの使い分けや,機序の異なる薬剤の併用によるさらなる治療成績の向上が期待される.a b s t r a c t