カレントテラピー 31-5 サンプル

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42 Current Therapy 2013 Vol.31 No.5496β2 agonist:LABA)の位置づけが高くなることが予想される.治療効果ならびに併存症への影響を含めた副作用の観点,および個人に適した吸入デバイスの選択の観点からも,薬剤選択のオプションが拡がることが期待される.また,吸入ステロイド薬やテオフィリン,カルボシステインなどの内服薬はCOPD治療において主軸である長時間作用型吸入気管支拡張薬を支持する薬剤と位置づけると理解しやすい.つまり,症状改善もしくは増悪頻度抑制を意図するというものである.また吸入ステロイドの追加で増悪頻度が低下することが示されているだけではなく,PEACE Studyでは,喀痰調整薬に位置づけられるカルボシステインがその作用以外に増悪頻度を低下させることが示されている9).今後もこのような観点で併用薬の評価を行うことが必要である.Ⅲ 合併症評価とその管理の重要性併存症には心血管疾患,骨格筋機能障害,メタボリックシンドローム,骨粗鬆症,抑うつ,肺癌,逆流性食道炎などが挙げられる.併存症の発症についてCOPDと関連が強く示唆されているもの,そうでないものとどちらもがあるが,両者とも予後に大きな影響を与える可能性がある.例を挙げると,骨粗鬆症は主要なCOPD併存症とされ,喫煙や生活要因,ビタミンDの不足,遺伝素因,ステロイド治療(内服・吸入),骨格筋量と筋力低下,体組成変化,性腺機能低下などの内分泌素因,腫瘍壊死因子(tumornecrosis factor:TNF)-αやインターロイキン(IL)-6などの循環炎症メディエータなどCOPDの病態と関連が示唆される危険因子が複数示されている9).また,骨粗鬆症は脊椎の圧迫骨折や腰痛などをきたすことでCOPD患者の肺機能,および日常生活動作(ADL)やQOLを低下させ,ひいては予後悪化につながる.さらに,COPD増悪は骨粗鬆症の進行に関与することが示されており(図3)10), つまりはCOPDと骨粗鬆症は相互に病状に影響を及ぼし,悪循環を形成しているということがわかる.また別の例を挙げると,COPD患者では逆流性食道炎の頻度が高いと報告されているが11),その一方で逆流性食道炎を有するCOPD患者においては増悪頻度が高かったことが示されている12).このように,併存症の多くは進行性とされるCOPDの自然歴をさらに悪化させる.いわば併存症はCOPDそのものの症状であり,危険因子であるといえる.このような観点から,併存症の評価と管理は重要である.Ⅳ COPD治療・管理の展望COPDは有害なガスや粒子により惹起された慢性炎症性疾患であると定義されているが,さまざまな種類の炎症が複雑に作用しており,その病態は一様なものではない.また,頻回に増悪を経験する患者群が存在することが示されている13)など,その臨床経過においてもheterogenousな疾患である.しかしその一方で,前述のとおり現在の中心的治療は気管支拡張薬であり,不均一性に即したものともいえず,また根本治療といえるものでもない.これらから今後の管理・治療に期待される点がいくつか導かれている.ひとつは,病態ならびに臨床経過におけるphenotypeに基づいた効果的介入であ-10-505mg/mL-year p=0.01-Exacerbation+図3 増悪経験群(右)は非経験群(左)に比べて有意に骨量低下がみられる〔参考文献10)より引用改変〕