カレントテラピー 31-4 サンプル page 9/30
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入院時管理・非侵襲的モニタリング(SaO 2,血圧,体温)・血液検査・酸素投与・BNP/NTproBNP(診断不確定時)・非侵襲的人工換気(適応時)・心電図・身体所見・胸部X線最初の90?120分入院時治療・CS1(SBP>140mmH....
入院時管理・非侵襲的モニタリング(SaO 2,血圧,体温)・血液検査・酸素投与・BNP/NTproBNP(診断不確定時)・非侵襲的人工換気(適応時)・心電図・身体所見・胸部X線最初の90?120分入院時治療・CS1(SBP>140mmHg):NIV+硝酸薬;体液貯留がなければ利尿薬は不要.・CS2(SBP 100~140mmHg):NIV+硝酸薬;慢性の体液貯留時には利尿薬.・CS3(SBP<100mmHg):体液貯留がなければ容量負荷を試行;強心薬.非改善時はSwan-Ganzカテーテル留置.SBP>100mmHgまでの改善なく低灌流が持続したら血管収縮薬を開始.・CS4(急性冠症候群):NIV+硝酸薬+心カテ;IABP;急性冠症候群ガイドラインに準拠.・CS5(右心不全):容量負荷を避ける;SBP>90mmHgで慢性の体液貯留時には利尿薬;SBP<90mmHgで強心薬;NIV+硝酸薬;体液過負荷がなければ利尿薬は不要.SBP>100mmHgまでの改善がなければ血管収縮薬を開始.治療評価項目・呼吸困難の軽減・自覚症状の改善・心拍数の低下・尿量>0.5mL/kg/分・SBPの維持・改善・末梢循環不全の改善次の6?12時間呼吸困難が持続ER/病棟で治療継続臨床および身体検査を頻繁に再評価・SBP<100mmHg・右心不全・組織灌流低下・O 2投与下でSaO 2<90%ICU入室最近未チェックなら心エコー図施行中心もしくは動脈ライン留置追加の診断作業ホスピスへの移送図4急性心不全治療におけるクリニカルシナリオ(CS)入院時の収縮期血圧を用い,初期介入を方向づける.CS1では,後負荷上昇が病態の中心と考え,血管拡張薬による降圧を主軸に置く.CS2では体液量過多が重要とみなし,適度な利尿薬使用を推奨する.CS3では心ポンプの駆出障害を念頭に,強心薬を考慮する.〔参考文献15)より引用改変〕きな関心事である.今回のESCガイドラインでは,驚くべきことにフロセミド静注をfirst touchとして推奨した(図3)1).ループ利尿薬の過量投与は予後不良と相関し10),腎機能悪化や電解質異常,さらには神経体液性因子の過刺激シフトがその背景とされた.あたかもフロセミド悪者論であったのに,今さらなに?という感じである.心不全での体液量管理に広く用いられてきたフロセミドであるが,これまでそのエビデンスの欠如が問題とされてきた.ひとつの回答として,ボーラス・持続の静注投与法および投与量の妥当性について,前向き比較対照のDOSE試験が行われた11).心不全の改善とともに腎機能悪化には,各群間で有意差がみられなかった.あくまで他剤との比較ではないため,フロセミド静注をfirst touchとする根拠としては不十分であろう.しかし,腎機能悪化のフロセミド用量依存性は認めず,一方で,長い歴史に裏づけされた経験則を重視する.つまり,危惧すべき悪化要因が多大でない限り,エビデンス確立の動きを評価すべきとの思いが,ガイドラインには感じられる.利尿薬による腎機能悪化は,予後の悪化に繋がると危惧されてきた12).しかし昨今,多少の腎機能悪化という不利益が生じたとしても,心不全によるうっ血改善の利益がそれを凌駕し,心不全予後全体13を改善させるとの報告)も散見される.ある治療の一側面のみに焦点を当てるのではなく,病態全体のアウトカムを見据えよう,言い換えれば,急性心不全をサクッと治す意義も語られるようになった.心不全包括管理が重視される今,なにを治療の標的とすべきかが問われている.12Current Therapy 2013 Vol.31 No.4360