カレントテラピー 31-4 サンプル

カレントテラピー 31-4 サンプル page 7/30

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1そもそも心臓病にさせないAcute event4心不全イベントが起きても「傷を浅く」すませるMyocardial FunctionTime2心不全進行の自然経過を緩徐に3心不全イベントの発生を予防する図2心不全予後を改善する4つの介入法従....

1そもそも心臓病にさせないAcute event4心不全イベントが起きても「傷を浅く」すませるMyocardial FunctionTime2心不全進行の自然経過を緩徐に3心不全イベントの発生を予防する図2心不全予後を改善する4つの介入法従来の管理の主軸は,予防的対策と,病態進行を抑制する神経体液性因子調節薬が主体であった.しかし,増悪イベントにより心不全病態が進行度を増すことから,イベントそのものを起こさない,もしくは,イベント時の障害を最小限に食い止めるとの介入法が考えられる.〔参考文献5)より引用改変〕繰り返しにより心不全予後を相加的に悪化させる5).急性増悪イベントの出現を回避する,あるいは,イベントが起きたとしてもそのダメージを最小限で済ませるイベント発生に最善な対処を行うことで,心不全全体の予後を改善できる(図2)5).急性期治療は慢性期治療でもある,との新たな考えである.Ⅲ心不全急性期治療のエビデンス構築の現状と問題点急性心不全治療の大規模臨床試験が,片っ端から色良い結果を出せないでいる.BNP製剤であるnesiritide 6),日本では保険適用されているバゾプレシンV2受容体拮抗薬であるtolvaptan 7)など,枚挙にいとまがない.果たして急性心不全に有効な薬剤とは,それほど乏しいものなのであろうか.慢性心不全治療からの予後介入が頭打ちを迎える現在,急性心不全治療に大きな期待が寄せられている.いくつものハードルを乗り越えてきた新規開発薬が,安易にその役割を否定されることは望ましくない.大規模臨床試験で否定されようとも,現場の視点からは有用と考えられる場合が少なくない.今,臨床試験の在り方が問われている.すなわち,有効な急性心不全治療とは一体なにか,どのように実証すべきかである.まず,試験のセッティングである.6),7例えば,前述した2剤の臨床試験)は,従来の急性期治療に加え,治験薬を用いることの意義を検証した.言い換えれば,フロセミドだけで臨床徴候を改善し得る症例に対し,あえて(必要もない)治験薬を足すことの意義である.決して,従来治療との対比試験ではない.新規薬剤への期待としては,従来治療への抵抗例など限局した患者層への意義を期待することが多い.例えば,低Na血症を合併し,Na利尿薬では血管内脱水をきたしやすい重症例では,tolvaptanでしか血行動態が保持し得ない8).多種多様な急性心不全病態を一緒くたにする弊害,すなわち,急性心不全の病態理解が十分でない現状が浮かび上がる.これは,慢性心不全を踏襲したこれまでの新薬開発プロトコールの限界であり,早期臨床試験の段階で病態解釈に再度立ち戻るステップが必要かもしれない9).望ましいエンドポイントとはなにか,実地臨床からの視点が再び求められる.Ⅳ急性期治療における心不全包括管理の考え方肺うっ血による呼吸困難例への初動処置はどうあるべきか.患者の命を預かる実地医にとっては,大10Current Therapy 2013 Vol.31 No.4358