カレントテラピー 31-4 サンプル page 14/30
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心不全治療の最前線(%)504030n=12 n=17平均LVEF(3Dエコー)非治療群幹細胞治療群n=17n=12n=5n=12(%)20駆出率の変10化量駆出率の改善(MRI)細胞治療前=28%n=8n=5n=8(g)0梗塞巣-10の変化量-20....
心不全治療の最前線(%)504030n=12 n=17平均LVEF(3Dエコー)非治療群幹細胞治療群n=17n=12n=5n=12(%)20駆出率の変10化量駆出率の改善(MRI)細胞治療前=28%n=8n=5n=8(g)0梗塞巣-10の変化量-20梗塞巣の縮小(MRI)n=9n=9細胞治療前=35gn=62001224細胞治療後(カ月)04 12 24細胞治療後(カ月)4 12 24細胞治療後(カ月)図2慢性虚血性心不全に対するSCIPIO trial陳旧性貫壁性心筋梗塞を伴う重症心不全患者に対するc -kit陽性心臓幹細胞の自家移植治療.3DエコーでもMRIでも同様に心機能の改善が認められ,その効果は2年間持続した.さらに梗塞巣の縮小や自覚症状の改善もみられ,有害事象は認められていない.現在経過フォロー中であり,2013年夏に治療群20例のデータが揃う見通しである.n:患者数〔参考文献17), 18)より引用改変〕細胞治療を受け,図2に示すように,治療前(バイパス4カ月後)のLVEFが30%であったのに対し,治療後1年で38%,2年で42%と心機能の改善を認めた17), 18).MRI上も梗塞巣が著明に縮小(図2),さらに自覚症状も改善し,細胞治療による有害事象は認められていない.臨床試験では安全面への配慮から,投与細胞を標識して長期にわたる挙動を追跡するのは難しい.しかし小動物を用いた研究では,c -kit陽性ヒト心臓幹細胞で心筋梗塞を治療すると,1カ月足らずで,失われた心筋に匹敵する数のヒト再生心筋ができる.ヒトに自家移植された細胞も速やかに増えると仮定すると,SCIPIO trialでの2年に及ぶ治療効果の持続は,細胞数の増加だけでなく,生成した個々の再生心筋の成熟,すなわち細胞レベルでの「逆リモデリング」によると考えるのが妥当であろう.一方,心臓内のスフィア形成能をもつ細胞を用いた臨床試験が日米の3施設で行われている.米国の「CADUCEUS trial」では,心筋梗塞後2~4週間の患者を対象とし,心内膜生検で採取した組織片からカルディオスフィア形成細胞が培養された.無作為に割り付けされた17症例が治療群として,生検の1~2カ月後に1,250万~2,500万個の細胞の梗塞責任血管内注入を受け,8例の対照群と比較された.その結果,MRI上の梗塞巣は6カ月で8.4グラム減少,12カ月で12.9グラム減少したが,LVEFには有意な変化がなかった19).しかし,SCIPIO trialと同様,有害事象の明らかな増加がなかったことは特筆に値する.国内では,虚血性心不全患者に対して,冠動脈バイパス手術と同時にスフィア形成細胞を注入し,さらに塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblastgrowth factor:bFGF)を含有する徐放シートで覆う「ALCADIA trial」で6症例が,また機能的単心室症の小児患者に対してカルディオスフィア形成細胞投与を行う「TICAP trial」で7症例が移植を終えており,その結果が待たれる.Ⅵ細胞治療の最適化へ向けて細胞治療は一般的に安価で,本人の細胞を使う限り拒絶反応や倫理的問題が生じず,必要に応じて繰り返し施行できる可能性もある.その臨床応用が本格化する段階で念頭に置くべき要素を四つ挙げておく.第一に対象患者であるが,骨髄由来細胞の項で触れたように,より重症患者のほうが治療を受けるメリットが大きい.すなわち,心機能の軽度低下例では治療による必要以上の改善は望めず,全貌が未明Current Therapy 2013 Vol.31 No.440961