カレントテラピー 31-4 サンプル page 13/30
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EGFP***EGFPα-SA***100μm図1c-kit陽性ヒト心臓幹細胞で治療されたラット心筋梗塞巣免疫抑制したラットの心筋梗塞巣の境界領域に,緑色蛍光タンパク(EGFP)で標識したヒト心臓幹細胞を投与して3週間後の組織....
EGFP***EGFPα-SA***100μm図1c-kit陽性ヒト心臓幹細胞で治療されたラット心筋梗塞巣免疫抑制したラットの心筋梗塞巣の境界領域に,緑色蛍光タンパク(EGFP)で標識したヒト心臓幹細胞を投与して3週間後の組織断面像.ヒト再生心筋(矢尻)は,サルコメア・アクチン(赤)とEGFP(緑)をともに発現しており,ラットの残存心筋(赤のみ,*)から区別される.〔Hosoda T, et al:Proc Natl AcadSci USA 106:17169 -17174, 2009より引用改変〕あり12),治療後遠隔期には他家移植が不利に働く可能性がある.また,非虚血性心不全に対して骨髄間葉系細胞の自家・他家移植を用いた「POSEIDON-DCM trial」も進行中である.同細胞の作用メカニズムとして,種々の増殖因子を産生し,次項で述べるc -kit陽性心臓幹細胞の活性化により,間接的に再生を促すことが示された13).別の研究では,骨髄間葉系細胞と心臓幹細胞の併用による相乗的な再生効果も示され14),特発性DCMに対し,両細胞を自家移植する「AIRMID trial」が計画中である.また骨髄以外に,脂肪組織由来細胞による心不全治療も試みられており,結果が得られ始めている15).Ⅴ心臓由来細胞冒頭で述べたように,心臓においても心筋や冠血管の置換により恒常性が維持されていることがわかり,2007年にはc -kit陽性ヒト心臓幹細胞が同定された16).ラットの心筋梗塞巣近傍に注入すると,壊死領域がヒト再生心臓組織で置換され(図1),心機能が改善した.2009年には,陳旧性貫壁性心筋梗塞を伴う重症心不全に対し,本細胞の自家移植による第I相臨床試験である「SCIPIO trial」が行われた.この試験は,LVEFが40%以下で冠動脈バイパス手術を受ける患者を対象とし,術中に切離される右心耳からc -kit陽性ヒト心臓幹細胞が培養された.手術4カ月後,心機能の再評価に続いてバイパス血管内に100万個の細胞が投与された.全20例が無事に60Current Therapy 2013 Vol.31 No.4408