カレントテラピー 31-2サンプル page 29/34
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睡眠時無呼吸症候群自治医科大学内科学講座循環器内科学部門永井道明自治医科大学内科学講座循環器内科学部門主任教授苅尾七臣高血圧患者のうち20~30%が3剤以上の降圧薬内服においても,コントロール不良な治療抵....
睡眠時無呼吸症候群自治医科大学内科学講座循環器内科学部門永井道明自治医科大学内科学講座循環器内科学部門主任教授苅尾七臣高血圧患者のうち20~30%が3剤以上の降圧薬内服においても,コントロール不良な治療抵抗性高血圧であるとされる.一方,Joint National Committee(JNC)7では閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleepapnea syndrome:OSAS)が新たな高血圧の二次的な原因のひとつに挙げられているが,これまでの治療抵抗性高血圧の原因に対する研究において,OSASを含め検討された研究はきわめて少なかった.近年,Pedrosaらは,治療抵抗性高血圧患者125人(年齢52±1歳,男性43%,収縮期/拡張期血圧176±31/107±19mmHg)を対象にOSASを含めた高血圧の二次的な原因の頻度を系統的に検討した.その結果,OSASは80人(64%)に,重度OSASは42人(34%)に認めた.原発性アルドステロン症は7人(5.6%),そのうちアルドステロン産生腺腫は1人(0.8%)で,腎動脈狭窄症は3人(2.4%)であった.治療抵抗性高血圧患者においてOSASは最も多い高血圧の原因であった.一方,経口避妊薬の内服は1.6%,甲状腺障害は0.8%であった.なお,43人(34.4%)が高血圧の2次性原因を伴わない本態性高血圧であった.OSASが血圧コントロール不良に寄与する可能性が指摘され,交感神経活性の上昇,圧受容体反射の低下,血管内皮機能の低下,塩分や水分の貯留傾向などが病態生理として考えられる.OSAS患者において経鼻的持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP)による降圧効果が示されており,治療抵抗性高血圧におけるOSASに対してもCPAPの果たす役割は大きいと考えられる.最近,われわれは夜間睡眠時における酸素低下時の血圧が測定可能なトリガー血圧計により,睡眠時の無呼吸に伴う血圧上昇(ミッドナイトサージ)をとらえることに成功した.OSAS患者に対するミッドナイトサージの検討では,収縮期の最大昇圧速度は無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)と有意な正の相関関係にあった.こうした知見から,治療抵抗性高血圧患者も対象に含めたSleep Pressure and disordered breathing inResistant Hypertension and CardiovascularDisease Registry(SPREAD)研究が現在進行中である.本研究により夜間血圧変動性と睡眠呼吸障害との関連が明確化され,治療抵抗性高血圧における睡眠呼吸障害の病態生理に対する理解が深まることが期待される.106 Current Therapy 2013 Vol.31 No.2218