カレントテラピー 31-2サンプル page 22/34
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ク評価は高血圧治療ガイドラインの管理指針より低く,降圧療法の見直しも不十分である20).治療抵抗性高血圧を診たときには,まず,薬剤の使用量とその組み合わせが適切であるか否かについての見直しを怠ってはなら....
ク評価は高血圧治療ガイドラインの管理指針より低く,降圧療法の見直しも不十分である20).治療抵抗性高血圧を診たときには,まず,薬剤の使用量とその組み合わせが適切であるか否かについての見直しを怠ってはならない.投与している薬剤が低用量であれば,その薬剤の増量を検討することが求められる.薬剤の追加投与を行う際には,原則として主な5つのクラス〔カルシウム(Ca)拮抗薬,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB),降圧利尿薬,β遮断薬〕から選択するが1),可能な限り降圧利尿薬を加える1)~3).現時点では3剤以上のどの組み合わせが有用であるかについてのエビデンスは乏しいので,個々の病態を考慮した併用療法を行うことになる.同じクラスの組み合わせは降圧効果が十分に期待できない一方,副作用の出現に注意する必要がある.ACE阻害薬+ARBの併用療法は可能であるが,Ongoing Telmisartan Alone and in Combinationwith Ramipril Global Endpoint Trial(ONTARGET)では,高リスク群に対する有効性については否定的であった21).また,ACE阻害薬+ARB併用療法による降圧作用はレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(ACE阻害薬あるいはARBのいずれか)と12スピロノラクトンの併用療法)や作用部位の異なる22利尿薬の併用療法)による降圧作用に劣る.ARB+β遮断薬,ACE阻害薬+β遮断薬,ARB+直接的レニン阻害薬(direct renin inhibitor:DRI),ACE阻害薬+DRI,β遮断薬+DRI,ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬と非ジヒドロピリジン系カルシウム(Ca)拮抗薬のいずれも併用可能であるが,同じクラスの薬剤の組み合わせであることから,期待される降圧効果が得られない場合もある.β遮断薬と非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の併用は徐脈に注意する.Mannは治療抵抗性高血圧患者の臨床および検査所見を参考に,利尿薬の強化療法(利尿薬の増量+スピロノラクトンの追加投与)あるいは交感神経系の抑制療法(α遮断薬+β遮断薬の追加投与)のいずれかを選択することを提唱している4).食塩過剰摂取,体格が大きい(肥満),浮腫の存在,血漿レニン活性低値,利尿薬服薬下でも血清尿素窒素,血清クレアチニン値および血清尿酸値の上昇を認めない,CKD合併などを有する症例は利尿薬の強化療法を選択する4).一方,睡眠呼吸障害,大酒家,発作性高血圧,血圧変動が大きい高血圧,利尿薬+RAS阻害薬の併用療法に抵抗性,体液貯留の臨床および生化学検査所見に乏しい,洞性頻脈の合併,精神科的問題などを有する症例は交感神経系の抑制療法を選択する4).この方法により89%が目標血圧を達成したと報告している16).図1に治療抵抗性高血圧における併用療法のフローをまとめた.Ⅲ降圧利尿薬治療抵抗性高血圧に対する治療には特に体液貯留の軽減が重要であり,降圧利尿薬の投与が推奨されている1)~4).降圧利尿薬はサイアザイド系利尿薬とサイアザイド類似薬に分類される23).降圧利尿薬は1/2錠(症例によっては1/4錠)から開始し,最大限2錠までとする1).降圧利尿薬は薬剤間で降圧および心血管イベント抑制効果が異なる.クロルサリドンとインダパミドはARBとの配合剤に含まれるヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide:HCTZ)より降圧および心血管イベント抑制に優れること23),インダパミドはトリクロルメチアジドより降圧効果に優れることが示されている23).英国のNICEガイドラインは,降圧利尿薬を開始あるいは変更する際は,クロルサリドンあるいはインダパミドを推奨している.ただし,クロルサリドンは本邦での発売が中止されている.糸球体濾過量(glomerular filtrationrate:GFR)30mL/分/1.73m 2以下のCKD合併では,ループ利尿薬を使用する3).具体的にはフロセミド20~40mgを投与するが,その作用時間が短いことから分割投与が望ましい1).また,長時間作用型のトラセミドも有効である1).降圧利尿薬とループ利尿薬の併用療法が行われることもあるが,過降圧,血清尿素窒素の上昇,血清クレアチニンの上昇,低ナトリウム(Na)血症,高尿酸血症に注意する.Current Therapy 2013 Vol.31 No.220593