カレントテラピー 31-2サンプル page 15/34
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概要:
治療抵抗性高血圧診療の最前線腎臓アブレーションカテーテル腎神経束腎動脈大動脈ガイドカテーテル1回焼灼2分以内generator 5~8W5mmずつ引き抜く施行6回以内合計平均38分図2両側腎神経束を,腎動脈内からアブレーシ....
治療抵抗性高血圧診療の最前線腎臓アブレーションカテーテル腎神経束腎動脈大動脈ガイドカテーテル1回焼灼2分以内generator 5~8W5mmずつ引き抜く施行6回以内合計平均38分図2両側腎神経束を,腎動脈内からアブレーションする方法の模式図び脊髄中間外側核の電気活動を亢進させる.また室傍核の神経活動が亢進すると,バゾプレッシンが分泌され,下垂体を経て腎臓の集合尿細管に結合し,尿中の水分を血中へ再吸収することにより,高い浸透圧が是正される.この「高Na血症→終末板の神経活動亢進→視床下部の室傍核の神経活動亢進→RVLMの電気活動の亢進→末梢交感神経亢進」が,「有効循環血漿量の増加→低圧系の心臓・圧受容器反射→RVLMの電気活動の低下→末梢交感神経抑制」よりも強いと,結果として末梢交感神経活動が亢進し,Naが貯留し血圧が上昇する.Ⅲ腎神経アブレーションによる降圧治療1臨床試験の成績オーストラリアのKrumとEslerのグループは,平均血圧が177/110mmHgと高い治療抵抗性高血圧患者45人に対して,経皮的・経腎動脈的にアクセスする電気的アブレーションによって腎神経を傷害する治療を行い,血圧を1年間低下させることに成功した9).方法としては,大腿動脈からカテーテルを腎動脈内へ入れ,分岐部まで進める(図2).そこで腎動脈断面の0時から3時方向を5W前後の低パワーで焼灼する.動脈内からパワーを発するのだが内皮細胞や血管平滑筋は傷害されず,腎動脈外膜へ侵入する腎神経束(遠心性腎交感神経と求心性腎神経)のみが傷害される.次にカテーテルを5mm手前に引いて,動脈断面の3時から6時方向を焼灼する.さらに5mm引いて0時から9時方向を焼灼する.実質的な治療時間は平均38分と短い.治療中は腹部の痛みが続くこともある.図3のように,治療抵抗性の本態性高血圧患者において,腎神経アブレーションから2年後にも血圧が32/14mmHgと著明に低下しており,長期に降圧効果が持続している10).59歳患者の1例では,7種類の降圧薬を用いても血圧が161/107mmHgであったが,腎神経アブレーションにより1カ月後に141/90mmHg,12カ月後には5種類の降圧薬にて127/81mmHgへ低下した11).遠心性腎交感神経活動を表す腎でのノルエピネフリン(norepinephrine:NE)スピルオーバー(NEの実質的な放出量)も著明に減少した(図4).腎交感神経活動亢進はレニンを増加させ腎血管を収縮させるので,腎神経アブレーションにより血漿レニン活性が低下し,腎血漿流量は増加した.興味深いことに,予想に反して,直接傷害されていない全身のNEスピルオーバーも約50%に減少した(図4).電極を刺して直接測定した下腿の筋交Current Therapy 2013 Vol.31 No.218169