カレントテラピー 31-2サンプル page 10/34
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治療抵抗性高血圧の原因と治療対策1.0Cumulative survival0.90.80.702 4 6 8 10(years)Time of follow-upNTWCHMHSH図3白衣高血圧の予後フィンランドの一般住民データ(n=2,046,44~74歳,追跡期間;平均7.5年)....
治療抵抗性高血圧の原因と治療対策1.0Cumulative survival0.90.80.702 4 6 8 10(years)Time of follow-upNTWCHMHSH図3白衣高血圧の予後フィンランドの一般住民データ(n=2,046,44~74歳,追跡期間;平均7.5年).持続性高血圧(SH),仮面高血圧(MH),白衣高血圧(WCH),正常血圧(NT)の順に生存率は低下する.白衣高血圧のリスクは正常血圧と同等である.診察室血圧:140/90mmHg,家庭血圧:135/85mmHgで分類する.〔参考文献15)より引用改変〕き,その関連性は外来血圧や24時間血圧の絶対値レベルとは独立したものであると報告されている12).治療抵抗性高血圧であった場合には,夜間血圧の評価が重要であることを示唆する.24時間血圧と家庭血圧には上述した違いはあるものの,実際に高血圧患者613名(平均年齢53歳,未治療59%)を対象に24時間血圧と家庭血圧を使用して白衣高血圧の診断能を比較した研究によれば,双方の診断の一致率は90%であった.24時間血圧で診断した白衣高血圧を基準とした場合,家庭血圧による診断の感度・特異度はそれぞれ61%と94%であった13).また,3剤以上服用していても外来血圧>140/90mmHgの高血圧患者73名を対象に,24時間血圧と家庭血圧を使用して白衣効果による偽性治療抵抗性高血圧を検出する診断能を比較した研究では,双方の診断の一致率は82%であった.24時間血圧で診断した白衣高血圧を基準にした場合,家庭血圧の感度・特異度は93%と66%であった14).以上の知見から,論文著者らは家庭血圧も24時間血圧と同程度に白衣高血圧の診断に有用であると結論づけている.血圧は生理的に変動するものであり,幾分の違いが生じるのは致し方ないのであろう.そのような限界はあっても,家庭血圧で評価した白衣高血圧の予後は,平均追跡期間7.5年間では正常血圧群と変わらないとする報告(図3)15)や,平均70歳という高齢者高血圧患者を対象に平均3.2年間追跡した場合,白衣高血圧の予後は正常血圧群と変わらないとする報16告)など,家庭血圧を使用した白衣高血圧のエビデンスは集積しつつある.(治療抵抗性高血圧に限らず)24時間血圧か?家庭血圧か?この議論に対する現時点での見解は,双方は拮抗し合うものではなく,お互いの利点欠点を理解したうえで相補的に使用すべきと考えられている.そういう意味では,最近米国高血圧学会(American Society of Hypertension:ASH)が提唱した,24時間血圧と家庭血圧の使用指針は合理的な考えである(表4)17).つまり,診察室外血圧の評価は24時間血圧での評価が理想ではあるものの,医療サイドの問題(高価で購入できない,保険がカバーしていない)や,患者サイドの問題(ストレスフルなのでつけたくない)などの理由により,現実的に不可能である場合は家庭血圧による評価が好ましい.ただし,家庭血圧で125~135/75~85mmHgのケースは正常範囲内とはいえ慎重に解釈すべきである.例えば糖尿病や慢性腎臓病といった危険因子が集積しているケースや,臓器障害を認めるケースには24時間血圧まできちんと測定し,そのうえで正常であれば白衣効果(白衣高血圧)であると診断するのが好ましい.Current Therapy 2013 Vol.31 No.212513