カレントテラピー 31-12 サンプル

カレントテラピー 31-12 サンプル page 7/34

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 31-12 サンプル の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
カレントテラピー 31-12 サンプル

10 Current Therapy 2013 Vol.31 No.121200実施と公表については日本内科学会の許可を得て行った6).総参加者4,264名のうち1,660名が投函しており,そのうち内科医1,623名(年齢幅24~90歳)を対象に解析した.その結果,FD,機能性胃腸症,機能性ディスペプシア,慢性胃炎という病名を知っている人はそれぞれ68.9%,66.9%,62.0%,95.5%であった(図1).また,医師がFD患者に告げる診断名は,機能性胃腸症(50.8%),慢性胃炎(50.0%),FD(26.7%),機能性ディスペプシア(18.6%),心配ない(12.0%),異常なし(6.1%),気のせい(0.7%)であった.一方,Rome基準の存在を知っている医師は39.9%で,そのうち31.8%が診療に活用していると回答した.特筆すべきことは,診療するFD患者数が多い内科医はFDやRome基準の認知度が高く,積極的に治療をしているという結果であった.一方,慢性胃炎の認知度には診療患者数による差はみられず,現在の教育,保険医療制度を反映する結果であった.英国の実地医家(137名),消化器専門医(167名)を対象にしたRome基準の認知度・活用度を調査した結果では,認知度・活用度は実地医家で12%・3%,専門医で83%・40%であった7).後者は高率ではあるが,活用度については高くないという同様の結果であった.2013年6月,本邦初の機能性ディスペプシアを保険適用にもつ新規の薬剤(アコチアミド:アコファイドR)8)が上市された.これを受け,慢性胃炎と同様に機能性ディスペプシアが保険病名として存在することを医師に啓発することが必要である.Rome基準の活用についてはさまざまな限界はあるが,診断における症状,修飾因子,除外診断が明記されているのでさらなる普及が望まれる.Ⅲ 消化管症状から診断へ1 Rome委員会によるFGID診断アルゴリズムRome基準は臨床研究を行う際に有用であり,実臨床では病悩期間の長さにみられるように実際的ではないことが指摘されている9),10).このような背景もあり,Rome委員会では実地医家向けに典型的な15種類の「消化器症状」からのFGID診断アルゴリズムを公刊している.そのうち,反復する「胃もたれ・胃痛(ディスペプシア)」11「)便通異常を伴う腹痛・腹部不快感」12)での診断アルゴリズムを図2, 3に示し,症例を通してその利用方法を解説する.なお,本邦では2014年に日本消化器病学会からFD,IBSの診療ガイドラインが発刊予定であり,より本邦のFunctional dyspepsia機能性胃腸症機能性ディスペプシアNUD(non-ulcer dyspepsia)過敏性腸症候群慢性胃炎逆流性食道炎非びらん性胃食道逆流症68.966.962.061.695.695.597.558.70 20 40 60 80 100図1内科医の消化管疾患名認知度2009年度日本内科学会の生涯教育講演会参加者を対象に質問票を用いた調査を実施した.内科医1,623名(年齢幅24~90歳)を対象に解析した.Y軸に挙げた「病名のなかでご存じのものに,○をつけて下さい(複数回答可)」に対する結果(数字は%)を記載.〔参考文献6)より引用改変〕