カレントテラピー 31-12 サンプル page 24/34
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カレントテラピー 31-12 サンプル
Current Therapy 2013 Vol.31 No.12 67特殊な機能性消化器疾患へのアプローチ1257第2 段階: 右の腕が温かい,右の脚が温かい,左の腕が温かい,左の脚が温かい.第3 段階:心臓が静かに脈打っている.第4 段階:呼吸が楽になってくる.第5 段階:胃のあたりが温かくなる.第6 段階:額が涼しい.3 認知行動療法認知行動療法は,認知や思考の歪みの変容,行動の変容を行う心理療法である.強いストレスを受けたり,うつ状態のときには認知に歪みが生じ,抑うつ感や不安感が増し,非適応的な行動が強まり,さらに認知の歪みが引き起こされるようになる.例えば,未来に関する否定的な見方,全か無かの思考,破局的な見方,独断的な推論,過度の一般化,べき思考,自己関係づけなどである.まず,患者に自らの認知パターンに注目するように勧め,そのようになった根拠や理由を尋ねたり,他の選択肢を探ったりしながら認知パターンを振り返り,客観的に現実を見つめ直すようにする.同時に,問題に対処する方法を身に付けたり,対人関係を改善するコミュニケーション術を身に付けたりする目的で実際に行動を起こし,望ましい行動形成をする.これらを織り交ぜながら,問題解決能力を養っていく.①治療計画:問題点を整理し,患者の長所を活かした治療計画を立てる.②行動変容:日々の生活を振り返り,日常的に行う決まった活動,優先的に行う必要のある活動,楽しめる活動,やりがいのある活動などの優先順位を付けて行い,楽しめる活動,やりがいのある活動を増やす.また,一定の身体活動や運動を用いて自信やコントロール感覚を取り戻し,人との関わり,コミュニケーション,適応力を高めていく.③認知変容:認知パターンに焦点をあて,その歪みを修正する.④治療終結Ⅶ おわりにFGIDの診療において,身体症状のみならず,心理社会的因子,特にストレス,不安,抑うつなどにも目を向ける必要がある.そのうえで,薬物療法,心理療法を含む心身医学的な治療を進めていくことが望ましい.参考文献1)日本心身医学会教育研修委員会編:心身医学の新しい治療指針.心身医 31:540-542, 19912)Selye H:A syndrome produced by diverse nocuous agents.Nature 138:32, 19363)Lazarus RS, Folkman S:Stress, Appraisal, and Coping.Springer, New York, 19844)Williams M, Budavari A, Olden KW, et al:Psychosocialassessment of functional gastrointestinal disorders in clinicalpractice. J Clin Gastroenterol 39:847-857, 20055)Drossman DA, Creed FH, Olden KW, et al:Psychosocialaspects of the functional gastrointestinal disorders. Gut 45Suppl 2:Ⅱ25-Ⅱ30, 19996)Levy RL, Olden KW, Naliboff BD, et al:Psychosocial aspectsof the functional gastrointestinal disorders. Gastroenterology130:1447-1458, 20067)Drossman DA:The functional gastrointestinal disorders andthe Rome Ⅲ process. Gastroenterology 130:1377-1390,20068)Golden WL:Cognitive -behavioral hypnotherapy in thetreatment of irritable-bowel-syndrome-induced agoraphobia.Int J Clin Exp Hypn 55:131-146, 20079)Miwa H:Life style in persons with functional gastrointestinaldisorders- -large-scale internet survey of lifestyle in Japan.Neurogastroenterol Motil 24:464-471, 201210)Bennett EJ, Piesse C, Palmer K, et al:Functional gastrointestinaldisorders:psychological, social, and somatic features.Gut 42:414-420, 199811)中島滋美:機能性消化管障害(FGID)のスペクトルとオーバーラップ(特集 機能性消化器疾患の基礎と臨床).消化器内科53:465-469, 201112)Mackay FJ, Dunn NR, Wilton LV, et al:A comparison offluvoxamine, fluoxetine, sertraline and paroxetine examinedby observational cohort studies. Pharmacoepidemiol Drug Saf6:235-246, 199713)Meijer WE, Heerdink ER, van Eijk JT, et al:Adverse eventsin users of sertraline:results from an observational study inpsychiatric practice in The Netherlands. PharmacoepidemiolDrug Saf 11:655-662, 2002