カレントテラピー 31-12 サンプル

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カレントテラピー 31-12 サンプル

66 Current Therapy 2013 Vol.31 No.121256例)トレドミンR 25mg 分1で開始し,成人は1日100mg,分2~3まで漸増する.高齢者の場合は1日60mgまでとする.5)デュロキセチン(サインバルタR)SNRIの薬剤である.前述のうつ検査であるHAM -Dの下位項目のうち,抑うつ気分,仕事と活動,入眠障害,罪業感,精神的不安における効果が優れている.また,末梢神経障害による疼痛に対しても効果がある.例)サインバルタR(20mg)1カプセル,分1,朝食後で開始し,1週間以上の間隔をあけて20mgずつ増量する.症状に応じて60mgまで増量可能である.6)ミルタザピン(リフレックスR,レメロンR)NaSSAの薬剤である.静穏的に作用し,うつ病の症状のうち,特にいらいら感,食欲不振,不眠,不安に有効である.例)リフレックスRまたはレメロンR(15mg),1錠,分1,就寝前で開始し,1週間以上の間隔後に15mgずつ増量する.最大量は45mgである.7)スルピリド(ドグマチールR)ベンザミド系向精神薬である. 低用量(50~150mg)で用いると抗うつ作用,高用量(300~1,200mg)では抗精神病作用をもつ.低用量の使用では抗うつ作用に加え,心因性の症状や不定愁訴の緩和に対して用いることもある.錠剤,カプセル,細粒の剤形がある.例)抗うつ,心因性の症状に対してドグマチールR 150~300mg,分服Ⅵ 心理療法発症や経過に心理的ストレスが関与しているため,治療においては消化管自体に対する内科的治療や抗不安薬,抗うつ薬のみならず,心身医学的なアプローチも必要となる.ストレス軽減のための環境調整,面接,漸進的筋弛緩法,自律訓練法,認知行動療法などが有用である.1 漸進的筋弛緩法漸進的筋弛緩法とは,筋緊張と弛緩を繰り返すことで身体のリラックスを導くものである.具体的には,各部位の筋肉に対して10秒間力を入れて緊張させ,その後15~20秒間脱力,弛緩する.① 両手:両腕を伸ばし,掌を上にして,親指を曲げて握り込む.10秒間力を入れ緊張させる.手をゆっくり広げ,膝の上において,15~20秒間脱力・弛緩する.筋肉が弛緩した状態を感じるよう教示する.② 上腕:握った拳を肩に近づけ,曲った上腕全体に力を入れ10秒間緊張させ,その後15~20秒間脱力・弛緩する.③ 背中:上腕のときと同じ要領で曲げた上腕を外に広げ,肩甲骨を引き付ける.④ 肩:両肩を上げ,首をすぼめるように肩に力を入れる.⑤首:右側に首をひねる.左側も同様に行う.⑥ 顔:口をすぼめ,顔全体を顔の中心に集めるように力を入れる.筋肉が弛緩した状態,口がぽかんとした状態にする.⑦ 腹部:腹部に手をあて,その手を押し返すように力を入れる.⑧ 足:爪先まで足を伸ばし,足の下側の筋肉を緊張させる.足を伸ばし,爪先を上に曲げ,足の上側の筋肉を緊張させる.⑨ 全身:①~⑧の全身の筋肉を同時に10秒間緊張させた後に力をゆっくりと抜き,15~20秒間脱力・弛緩する.2 自律訓練法自律訓練とは,次のような手順で自己教示的な語句を反復しながら,受動的注意集中を行うことによって心身の調整を図るものである.具体的には次のような公式を用いる.準備段階: 目を閉じる,とても心が落ち着いている.第1 段階: 右の腕が重い,右の脚が重い,左の腕が重い,左の脚が重い.