カレントテラピー 31-12 サンプル page 21/34
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カレントテラピー 31-12 サンプル
64 Current Therapy 2013 Vol.31 No.121254Ⅳ 心理検査FGIDにおける不安,抑うつの合併頻度は高く10),11),これらを検査することは治療を進めていくうえで大切である.臨床現場で比較的容易に行える検査には,抑うつ検査としてはBeck Depression Inventory Ⅱ(BDI-Ⅱ),Self -rating Depression Scale(SDS),Hamilton Rating Scale for Depression(HAM-D),不安検査としてはState -Trait Anxiety Inventory(STAI)がある.これらの検査で不安やうつの得点が高ければ,FGIDの治療においては心理社会的な側面にも焦点を当て,心理療法,抗うつ薬,抗不安薬を併用しながら,消化器症状自体に対する治療薬を使用することが必要となる.Ⅴ 薬物療法FGIDの消化器症状自体に対する治療薬については他稿に譲り,本稿では心理的な側面に焦点を当てた薬物治療について概説する.ストレスや心理的な異常の関与が大きい場合,不安が優勢なのか,うつが優勢なのかを見極めることが必要であり,そのうえで不安が優勢であれば抗不安薬,うつが優勢であれば抗うつ薬を使用する.ここでは具体的に,よく用いられる薬剤とその使い方について述べる.1 抗不安薬1)アルプラゾラム(コンスタンR,ソラナックスR)ベンゾジアゼピン系の抗不安薬である.消化器症状を伴う心身症,不安,緊張,抑うつ,不眠に対する有用性が認められている.薬物依存性,眠気,ふらつきなどの副作用がある.例) コンスタンR(0.4mg)またはソラナックスR(0.4mg)3錠,分3,毎食後2)ロフラゼプ酸エチル(メイラックスR)ベンゾジアゼピン系の抗不安薬である.全般性不安障害,パニック障害,不安抑うつ障害などにおける不安,焦燥,抑うつ,不眠に対する有効性がある.生育歴・遺伝・環境心理社会的因子・日常ストレス・心理状態・対処行動・社会的支援生理機能・腸管運動・内臓知覚・炎症・腸内細菌叢変化結果・薬物治療・医療機関受診・日常機能・生活の質機能性消化管障害・症状・罹患行動腸管腸管神経系脳中枢神経系図2DrossmanによるFGID病態モデル〔参考文献7)より引用改変〕