カレントテラピー 31-12 サンプル

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28 Current Therapy 2013 Vol.31 No.121218襲的検査の前に行われるべきである.2)食道内pHモニタリングNCCP患者に対して24時間食道内pHモニタリングを行った検討は複数報告されており,21~53%の患者で異常酸逆流が認められ,12~50%の患者で酸逆流の際に胸痛がみられたとされている5).pHモニタリングでは胃食道逆流と胸痛との関連をsymptomindex(SI)やsymptoms association probability(SAP)などで検討することができ,さらにNCCP患者では,酸逆流時間が長い症例やSIが高い症例では治療の反応性が良いことが示されている.前述のPPIテストの診断的有用性は食道内pHモニタリングとほぼ同等であり,侵襲性や費用対効果の面から24時間食道内pHモニタリングの有用性は以前に比べると低下している.しかし,治療として胃食道逆流の手術を行う際に胸痛の原因となる胃食道逆流関与の証明が必要なケースや,PPIテストが有用でない症例で酸逆流の関与について検討するなどの限られたケースでは,24時間食道内pHモニタリングが有用である.近年,無線式の食道内pHモニタリングが開発された.有線式では喉に違和感が生じてしまい,通常と同じ食事を摂ることが困難であり非生理的となってしまうのが問題点であった.無線式の食道内pHモニタリングではこの問題点を解消し,無線式であるため食事などの日常生活を通常どおり行うことができ,より生理的な状態を評価できる利点がある.さらに,48~96時間と長時間のモニタリングが可能であることも有用な点である.ただし無線式の食道内pHモニタリングを用いた検討は,有線式のモニタリングを使用した検討とほぼ同様の結果が得られるが,その一方でNCCP患者では無線式のシステムを食道に装着したことにより胸痛が誘発されてしまい,取り外しを余儀なくされる症例があることが問題である.3)食道内インピーダンス/pHモニタリング逆流性食道炎(reflux esophagitis:RE)では酸逆流の評価が重要であるため,pHモニタリングがゴールドスタンダードとなっているが,近年では非びらん性胃食道逆流症(non -erosive gastroesophagealreflux disease:NERD)において非酸性逆流の関与も指摘されており,pHモニタリングによる評価だけでは十分ではない可能性がある.そこでインピーダンスモニタリングが開発され,酸性逆流だけでなく弱酸性逆流や非酸性逆流も検出できるようになった.インピーダンスモニタリングではさらに逆流物が液体なのか,あるいはガスなのかを鑑別することも可能であり,インピーダンスとpHモニタリングを組み合わせることにより,逆流物のより詳細な分析ができるようになった.NERDでは食道内インピーダンス/pHモニタリングによる逆流の評価が盛んに行われており,食道過敏性亢進が病因の一つであると考えられている.NCCPでもPPI内服下でも症状が残存している症例では,非酸性逆流や弱酸性逆流の関与が考えられるため,食道内インピーダンス/pHモニタリングによる評価が重要と思われるが,現時点では十分なデータは報告されていない.75人のNCCP患者に対して食道内インピーダンス/pHモニタリングを行った検討では,異常酸逆流を認めたのは16人(21.3%)のみであったのに対して,40人(53.3%)に有意な非酸性逆流を認めたと報告されている6).ただし,この検討では酸逆流群と非酸逆流群ともにSI>50%であったのは5~6%のみで,さらに両群でPPIの効果に違いがなかったとされており,検出された逆流と胸痛との関連については不明である.われわれは非酸性逆流後に胸痛がみられたケースを経験しており,食道内インピーダンス/pHモニタリングはNCCPと胃食道逆流との関連性を解明するために有用と思われ,今後さらなる検討が行われることが期待される.4)上部消化管内視鏡検査上部消化管内視鏡検査で器質的疾患を除外することは重要である.特に,つかえ感や体重減少を訴える症例では,悪性腫瘍の存在も念頭に置き,上部消化管内視鏡検査を行うべきとされている.上部消化管内視鏡検査を比較的容易に施行できる本邦では,まず始めに行われている検査であるが,意外に見落としがちなのが好酸球性食道炎である.粘膜に明らかな異常を認めない場合は通常生検を行わないが,好酸球性食道炎は生検を行わなければ診断できない