カレントテラピー 31-11 サンプル

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12 Current Therapy 2013 Vol.31 No.111104ンの脂質低下作用に加え抗炎症作用,血管内皮保護作用が関連すると想定されている(図6)15),16).スタチンはさらに頸動脈プラーク上昇効果すなわちプラーク安定化効果を有することも報告されている.また,降圧薬であるレニン・アンジオテンシン系阻害薬,カルシウム拮抗薬も頸動脈プラーク進展抑制効果が報告されている17),18).さらにインスリン抵抗性改善薬のピオグリタゾンもグリメピリドに比し頸動脈IMT進展抑制効果が有することがCHICAGO研究から示されている19).このように多くの薬剤が頸動脈IMTを指標に抗動脈硬化作用が検証されているが,では頸動脈IMTが増加するとイベントが増えるのか,あるいは頸動脈IMTが退縮するとイベントが少なくなるのかといった本質的な疑問に対する解答は十分に得られていない.最近発表されたPROG -IMT研究では,多数の疫学研究,臨床研究をメタアナリシスしたところ,観察開始時の頸動脈IMTは将来の心血管イベントリスクを予測させるが,観察期間中のIMTの経時変化は心血管イベント発症とほとんど関連しないことが報告されている20).Ⅵ おわりに心血管イベントリスクマーカーとしての頸動脈プラークの評価,頸動脈IMTの評価が有用なのはすでに周知の事実である.各種動脈硬化危険因子を有する患者では少なくとも一度は頸動脈プラークの評価を行うことはイベントハイリスク患者の選別にきわめて有用であり,薬剤管理のアドヒアランスの向上にも有用と考えられる.しかし,頸動脈プラーク,IMTを指標とした薬剤管理の有用性については十分なエビデンスは存在しない.現時点では,頸動脈プラークが大きく頸動脈狭窄をきたすほどの症例を除けば,頸動脈プラークの評価は臨床研究でない限り数年に1回程度でよいと考えられる.参考文献1)日本脳神経超音波学会:頸動脈エコー検査ガイドライン作成委員会:動脈硬化性疾患のスクリーニング法に関する研究班.頸動脈エコーによる動脈硬化性病変評価のガイドライン(案).Neurosonology 15:20-33, 20022)Gronholdt ML, Nordestgaard BG, Schroeder TV, et al:Ultrasonicecholucent carotid plaques predict future strokes. Circulation104:68-73, 20013)Yamagami H, Kitagawa K, Nagai Y, et al:Higher levels ofinterleukin -6 are associated with lower echogenecity ofcarotid artery plaque. Stroke 35:677-681, 2004Baseline 1 yearIBS index 27.2 IBS index 57.5図6スタチン治療による頸動脈プラーク退縮効果脂質異常症患者でスタチン治療前後の頸動脈プラーク像を示す.上段は血流をカラーで示しプラークの位置(矢印)を分かりやすく示した.スタチン治療前には血管内腔と同程度のエコー輝度の低いプラークを認めたが,1年間のスタチン治療によりプラークサイズが縮小するとともにプラーク輝度が高くなり,スタチンのプラーク退縮作用,プラーク安定化作用を示すと考えられる.