カレントテラピー 31-11 サンプル

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10 Current Therapy 2013 Vol.31 No.111102病変有病率が上昇した5).また頸動脈プラークスコアと脳卒中各病型の関係を検討すると,脳梗塞特にアテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞でプラークスコアが有意に高値を示した6).一方心原性脳塞栓症ではプラークスコアは対照群と同等であった.脳卒中のなかでもアテローム血栓症の要素の強い病型では,プラークスコアが高値を示すと考えられる.近年経食道心エコー検査の普及により大動脈粥状硬化が脳梗塞の原因として注目されている.頸動脈IMTと大動脈内中膜複合体厚の間にもよい相関がみられている7).これらの結果は,非侵襲的な手法で評価可能な頸動脈プラークの評価は,全身の動脈硬化重症度の指標として有用であることを強く示唆している.Ⅳ 頸動脈プラークと心血管合併症今日,頸動脈IMT,プラークの評価が日常臨床だけではなく健康診断でも広く普及しているのは,複数の大規模臨床研究で,頸動脈IMTが既知の危険因子とは独立して将来の心筋梗塞,脳卒中リスクと関連することが報告されたためである.大規模研究のメタアナリシスでは,頸動脈IMTが1SD増加するごとに脳卒中リスクが1.32倍,心筋梗塞リスクが1.26倍高まることが報告されている(図3)8)~11).しかし各種動脈硬化危険因子を管理中の外来通院患者においても同様に頸動脈IMTの評価が心血管イベントハイリスク患者の選別に有用かどうかは明らかでなかった.そこで,われわれは心血管イベントの既往があるか動脈硬化危険因子をひとつ以上有する外来通院患者を対象に,頸動脈超音波検査を施行し,前向きに心脳血管事故,認知症発症を追跡するOSACA2研究を2001年より開始し現在も継続中である.そのなかで頸動脈IMTは外来通院ハイリスク患者においても疫学研究同様に将来の心脳血管イベント発症リスクの独立した予測因子であることを明らかにした(図4)12).頸動脈IMTは総頸動脈,頸動脈分岐部,内頸動脈いずれの部位で測定しても,心血管イベントと関連するが,プラークに至らないび漫性のIMT肥厚は血管イベントとの関連が低いことが報告されている.したがって血管イベントリスクを評価するうえで頸動脈病変を評価する際には,プラークを含めたIMTの評価が重要であることを強調しておきたい.また頸動脈プラーク性状の評価が血管イベントリスクの評価に有用かどうかは明らかになっていない.頸動脈狭窄をきたすほどの大きなプラークでは,プラーク輝度の評価が同側の脳梗塞発症リスクの評価に有用であることは報告されているが2),中等度以下の頸動脈プラークの輝度を評価することの有用性は十分に示されていない.冠動脈疾患を有する患者1CHSARICRotterdamMDCSCAPSTotal1.281.221.281.191.151.234,47614,1655,4795,1635,05234,3351.16~1.421.15~1.301.15~1.441.01~1.401.00~1.321.18~1.281.1 1.2 1.3 1.4 相対リスク図3総頸動脈IMT 1SD増加に伴う脳卒中発症リスク(年齢,性別,危険因子補正)CHS:Cardiovascular Helath Study, ARIC:Atherosclerosis Risk in Communities Study,Rotterdam:Rotterdam Study, MDCS:Malmo Dietand Cancer Study subcohort, CAPS:CarotidAtherosclerosis Progression Study〔参考文献11)より引用改変〕