カレントテラピー 31-11 サンプル page 26/32
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カレントテラピー 31-11 サンプル
68 Current Therapy 2013 Vol.31 No.111160いてスタチンでコレステロールを下げることにより,プラーク性状の改善もしくはプラークの退縮を認めている.評価方法の信頼性について考慮する必要があるが,30日でプラークの性状が改善することを示唆する結果があることは特筆すべきである.Ⅵ おわりに前述したように,頸動脈プラークはスタチンにより比較的早期より質的な改善を認め,12~18カ月ではプラーク全体の容積も減少し得ることがこれまでの研究で示されている.冠動脈プラークの場合と同様にスタチンは頸動脈プラークの安定化,進展抑制ないしは退縮に有効である可能性が高い.しかし,頸動脈プラークの治療はあくまでもそれが原因となって起こる脳血管疾患を予防することである.欧米の報告では,頸動脈プラーク由来の脳梗塞は脳梗塞全体の約15~20%とされている24).また最良の内科的治療を行っていたにもかかわらず,無症候性頸動脈中等度狭窄患者において5年間の観察期間では約45%が狭窄の進行もしくは頸動脈プラーク由来と表5 頸動脈プラークに対するスタチン治療の効果を報告した最近の文献研究介入対象患者追跡期間評価方法LDLコレステロール結果Sibley,et al 16)スタチン群とスタチン+ナイアシン群の2群にランダム割り付け動脈硬化を有する65歳以上の患者145名18カ月MRIを用いたICAの壁容積スタチン群93→77mg/dL,スタチン+ナイアシン群89→70mg/dL群間で有意差はないもののICA壁容積は両群とも有意に減少したDella-Morte,et al 17)Atorvastatin 80mg(1群) 脳卒中の既往がなくスタチン非服用患者40名30日エコーを用いgrey scaledensitometry(GSD)indexによりプラークの安定性を評価144±38→70±25mg/dL GSD indexは治療の前後で有意に上昇したZhao,et al 18)Atorvastatin+プラセボ/a t o r v a s t a t i n+E R - ナイアシン+ プラセボ/atorvastatin+ER -ナイアシン+colesevelamの3群にランダム割り付け血管造影で確認された冠動脈有意狭窄もしくは頸動脈疾患を有しておりApoB>=120mg/dL,脂質治療一年未満の患者123名,ただし本論文ではlipid - rich necroticcore(LRNC)を有する33名が解析対象3年MRIを用いた血管壁断面積およびプラーク組成.本論文においてはLRNC容積,%LRNC(LRNC容積/壁容積)記載なしLRNC容積,%LRNCはいずれも有意に減少したMigrino,et el 19)スタチン治療の開始もしくは増量(1群)1.1mm以上の頸動脈プラークを有し,動脈硬化性の冠動脈もしくは脳血管疾患を有する患者26名6カ月MRIを用いたプラーク容積およびエコーを用いた平均IMT86±6→74±4mg/dL MRIによるプラーク容積は有意に減少したが,平均IMTは不変であったKadoglou,et al 20)Atorvastatin10~20mgを用いてLDL-C 100mg/dL>を目標とする通常治療群とatorvastatin 80mgを用いてLDL -C 70mg/dL>を目標とする強化治療群の2群にランダム割り付け頸動脈狭窄を有するが外科治療の適応のない50~75歳の患者140名12カ月エコーを用いてGSM(grey -scale median)スコアにより評価通常治療群 162±34→105±20mg/dL,強化治療群 167±40→77±18mg/dL両群ともベースライン時よりGSMスコアが有意に上昇したが,強化治療群では通常治療群よりも有意に上昇率が高かったYamada,et al 21)Atorvastatin 20mg服用群もしくは食事指導群の2群にランダム割り付けスタチン未服用でわずかな高コレステロール血症を有するか,有しない無症候性頸動脈中等度狭窄患者40名6カ月エコーを用いたIMTおよび三次元I n t e g r a t e dbackscatterエコーを用いた脂質容積Atorvastatin服用群116±26→65±21mg/dL,食事指導群 123±24→124±26mg/dLIMTは両群とも不変であったがAtorvastatin服用群において脂質容積は有意に減少した.Lee,et al 22)主治医判断のスタチン治療(1群)冠動脈疾患と新たに診断されスタチン未服用の患者32名( 解析はプロトコールを完了した24名が対象)12カ月MRIを用いたプラークインデックス(補正血管壁断面積)および大動脈伸縮性,FMD113±39→79±23mg/dL 3カ月時点でプラークインデックスの減少が頸動脈および大動脈において認められ, 大動脈では12カ月時点でさらに減少したが頸動脈では3カ月時点と有意差がなかった.大動脈伸縮性およびFMDも3カ月時点より改善が認められたWatanabe,et al 23)食事指導群およびプラバスタチン群の2群にランダム割り付け冠動脈疾患を有する連続患者60名6カ月エコーを用いたIMT,Integrated backscatterエコーによる輝度評価およびMRIプラバスタチン群131±14→99±14mg/dL,食事指導群 126±2→122±16mg/dLIMTは2群間で有意差がなかったが,補正IBSはプラバスタチン群でのみ有意に上昇した.〔参考文献16)~23)より引用改変〕