カレントテラピー 31-11 サンプル page 25/32
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カレントテラピー 31-11 サンプル
Current Therapy 2013 Vol.31 No.11 67治療薬解説1159の量的・質的診断のため,エコー以外にCT,MRIが用いられている.不安定プラークは病理学的には活動性の炎症,大きな脂質コア,薄い線維性皮膜,プラーク内出血およびvasa vasorumの血管新生で特徴づけられるが,こうした特徴を各モダリティがどれだけ正確に検出できるかが重要となる.エコー,CT,MRIの長所・短所を比較したレビュー13)ではエコーはプラークの辺縁不整や輝度,均一性を検出できるが,例えば辺縁不整についてはその臨床的意義が必ずしも明らかでなく,不安定プラークを示すとされる低輝度エコーについては報告されている特異度(57~80%)が高すぎるのではないか,としている.CTについてはマルチスライスCTを用いればプラークの形態は比較的正確に描出でき,重なりは大きいながらも石灰化病変,線維組織,脂質コアの区別はできるが,石灰化だけでは不安定化プラーク評価に十分ではない.また,軟部組織のコントラストが低いためにその中の組織の区別が難しい.MRIについてはT1,T2強調などを用いることにより組織コントラストを明確に区別し,プラーク内出血,脂質コア,石灰化を正確に区別できることや,形態的な計測も正確であることから最も有望であるが,スキャン時間が長いことにより体動アーチファクトが多数混じることが課題である.エコー,CT,MRIの長所・短所をまとめたものを表4に示す.Ⅳ 頸動脈IMTに対するスタチン治療の影響頸動脈IMTの肥厚自体は直接血栓・塞栓症の原因となることはないが,観察が容易であることから全身動脈硬化の代替指標として頻繁に評価されている.また頸動脈IMTを評価項目としてスタチンの効果をみた臨床試験は数多くあり,その多くでスタチンのIMT肥厚に対する進展抑制効果が示されている14).日本において行われたJART研究は,頸動脈IMT 1.1mm以上の脂質異常症を有する患者348人に対してランダムにロスバスタチンもしくはプラバスタチンを投与してIMTの進展抑制の差をみた試験であったが,この試験においてもよりLDL -Cを低下させたロスバスタチン群がプラバスタチン群に比較してIMT肥厚の進展抑制効果を示した15).Ⅴ 頸動脈プラークに対するスタチン治療の影響より直接脳血栓・塞栓症の原因となり得る頸動脈不安定プラークについては前述したように,エコー,CT,MRIによる評価方法があるが,それらを用いてスタチンがプラークに与える影響を調べた最近の研究を検索し,抽出した(表5).比較群のないものもあり,少人数の研究が多いが,多くの研究にお推 奨1.内頸動脈狭窄症において,頸動脈内膜剥離術の危険因子(表2参照)をもつ症例に対して,頸動脈ステント留置術を行うことが奨められる(グレードB).2.内頸動脈狭窄症において,頸動脈内膜剥離術の危険因子をもたない症例においては,頸動脈ステント留置術を行うことを考慮しても良いが,十分な科学的根拠はない(グレードC1). 表3慢性期におけるCASの推奨空間解像度時間分解能プラーク形態軟部組織コントラスト冠動脈描出Vasavasorum描出放射線被曝造影剤安全性エコーμm msec + ++ - + - 安全CT mm3 msec +++ + + - + 腎毒性MRI mm3 sec ++ +++ ± + -全身の線維症表4頸動脈プラーク評価方法の比較〔参考文献13)より引用〕