カレントテラピー 31-11 サンプル

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18 Current Therapy 2013 Vol.31 No.111110いが,他の検査では得られない情報なので試してみる価値はある.3 超音波造影剤超音波造影剤には第一世代のレボビスト?と第二世代のソナゾイド?が日本で使用可能であるが,第二世代のソナゾイド?は保険適用が肝臓に限られており,頸動脈には適応がない.第一世代のレボビスト?は超音波の照射により崩壊するが,第二世代のソナゾイド?は通常の超音波照射では崩壊せず,長時間増強作用が持続する.その特徴を利用して当センターでは倫理委員会の承認を受け,臨床研究としてソナゾイド?の頸動脈プラークに対する利用法を開発している.一つは新生血管の描出で,ソナゾイド?がプラークの立ち上がり付近を中心に内膜側や外膜側からプラーク内に流れ込む様子がとらえられており,新生血管の定量化も可能ではないかと考えている.また偽閉塞の場合に血流があるかどうかは手術適応を決めるうえで重要な情報であるが,ソナゾイド?を用いることにより通常の超音波検査では診断が困難な偽閉塞の診断が可能であることも確認している.Ⅲ MR検査MR検査は非侵襲的で,広い範囲で種々の方向からの画像をつくり出せるので頸動脈病変の診断によく用いられるようになってきている.スクリーニングとしてMR angiography(MRA)による頸動脈画像が最も普及しているが,狭窄を過大評価する傾向があるために注意が必要である.一方,Yoshimuraらはtime-of -flight(TOF)法のMRAでプラーク内出血の有無を評価できると報告している8).プラーク内出血の存在は,プラークの脆弱性を示し,治療法の選択にも有用な情報になるかもしれない(図5).MRIで頸動脈プラークの性状診断にも用いることができるという報告が出て,現在もいろいろな撮像法が提唱されている.基本的にはT1強調画像を基にしたもので,最初にmagnetization prepared rapidacquisition with gradient echo(MPRAGE)という方法により粥腫の描出が可能であるとの報告がなされ9),その後,撮像法の組み合わせにより脂肪や血腫の鑑別が可能であるとの報告が続いた(図6).現在はblack blood法を用いている施設が多いが,同じ撮像法でもメーカー間での差がみられるともいわれており,標準化も必要である.MR検査の短所は,まずペースメーカーやICDを埋め込んである場合や,古い脳動脈クリップなど,一部の金属類が体内にあると撮像不可能なことである.ペースメーカーは最近MR対応のものができて,新たに埋め込まれた患者はMR検査も可能となりつ図4 TCDによる中大脳動脈血流波形矢印の部分にMESが認められる.図5 MRAのTOF画像矢印の淡く描出された部位がプラーク内出血を示すとされている.