カレントテラピー 31-11 サンプル

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カレントテラピー 31-11 サンプル

Current Therapy 2013 Vol.31 No.11 17頸動脈プラークの診断法1109を出すために手間がかかりすぎて実用的でない.超音波の輝度を定量化することはそれほど難しいことではないが,体表から評価する場合には超音波の減衰に個人差や部位による違いがあるため,基準となる対照を設けて相対的な数値に換算する必要がある.表面性状に関しても定量化した報告があるが簡便な方法ではない.潰瘍に関しても深さが2mm以上との定義もあるが,超音波診断装置でなんとか潰瘍が見つかるようになったという古い時代の定義であり,もう少し新たな基準が必要である.均一性に関してもまず輝度を定量化して,そのばらつきを評価するという方法が考えられるが,実際に行われた報告はない.可動性に関しても,内中膜の厚みの変動を高い精度でとらえることができる方法は開発されているが,プラークに応用はされていない.いずれにしても,一定の基準を設けて多数の指標を基にプラーク性状を評価し,脳梗塞発症のリスクとの関係について大規模に追跡調査を行った報告はないために,どの指標をどの程度の重みづけで階層化するかについて使えるデータが現時点では存在していない.また超音波検査は検者の技量にも左右される部分があるので,一定の技量をもつことを評価された検者によるデータ集積が必要となる.現時点ではこれまでリスクが高いとされている所見と他のモダリティーとを総合してプラーク性状の評価を行っている施設が多い.2 経頭蓋超音波検査法直接頸動脈プラークの性状評価を行う検査ではないが,経頭蓋ドプラ装置(trans-cranial Doppler:TCD)を用いて連続的にドプラ信号をモニターすると,頸動脈プラークから発生する微小血栓をリアルタイムに観測することが可能である.短く強い一方向性の信号で,チャープ音とよばれる音を同時に聴取することができる(図4).最初はhigh intensitytransient signal(HITS)とよばれていたが,現在はmicro-embolic signal(MES)とよばれることが多い.MESのとらえられた頸動脈狭窄はリスクが高いという報告が多く6),最近ではプラーク性状が低輝度で,しかもMESがとらえられる頸動脈プラークは,無症候性でも症候性となるリスクが高いとの報告もある7).治療効果の判定にも用いられている.日本人は欧米人に比べて頭蓋内に超音波が入りにく拡張期収縮期長軸短軸図3可動性プラーク矢印の部分が心周期に合わせて一部だけ変形.