カレントテラピー 31-10 サンプル

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カレントテラピー 31-10 サンプル

72 Current Therapy 2013 Vol.31 No.101069欧州高齢者高血圧研究9)で, クロルタリドンはSHEP研究5),インダパミドはPATS研究10)や最近のHYVET研究11)において心血管リスクを減少させている.ただしいずれも何らかの薬剤の併用が必要であった.興味深いのはMRFIT研究12)である.これはspecial intervention(SI)と標準的なケアの比較であるが,SI群では当初クロルタリドンとHCTZが研究拠点ごとに割り付けられていたが,クロルタリドン群での死亡率がHCTZ群よりも低いことが指摘され,その後全例でクロルタリドン使用が義務づけられた.結果としてSI群の予後が良かったことが報告されている.さらに,比較的新しい薬剤との比較試験がいくつか実施された.HCTZに関しては長時間作用型Ca拮抗薬ニフェジピン(INSIGHT研究)13)アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(ANBP2研究)14),ACE阻害薬ベナゼプリル+アムロジピン(合剤 vs. ベナゼプリル+HCTZ,ACCOMPLISH研究)15)と比較され,INSIGHT研究では差が認められなかったが,後2者ではいずれも心血管イベントが利尿薬群で多いという結果になっている.クロルタリドンに関してはALLHAT研究で一次エンドポイント(冠動脈疾患死と非致死性心筋梗塞)に関してクロルタリドン群がACE阻害薬,Ca拮抗薬と差がなく,脳卒中リスク減少においてはむしろACE阻害薬よりも優れているという結果が報告されている.特にACCOMPLISH研究とALLHAT研究は冠動脈疾患ハイリスク高血圧患者を対象としていることから,結果の違いをHCTZとクロルタリドンのパフォーマンスの違いとする意見もある.たしかに,最近24時間血圧に関するHCTZとクロルタリドンの比較試験で外来随時血圧では差がないものの,24時間血圧はクロルタリドン群でより降下したという報告がある16).すなわち降圧薬としての能力では,同じ用量では薬物動態学的な違いも関与してクロルタリドンが優れており,それが臨床試験の結果の違いを説明できるかもしれない.また最近,クロルタリドンはベンドロフルメチアジドと比較して血小板凝集能抑制効果やangiogenesisに優れていると報告されている17).さらに,そもそもの開発の契機となったクロルタリドンの炭酸脱水素酵素抑制効果が一酸化窒素生成などを介して動脈硬化進展抑制効果を有するという仮説もあり18),これらも臨床試験での結果の違いに関連しているかもしれない.Ⅲ カリウム保持性利尿薬表3に示すように,抗アルドステロン薬であるスピロノラクトンとエプレレノン,アミロライト?感受性上皮型 Na チャネルを抑制するトリアムテレンがある.抗アルドステロン薬は遠位尿細管から集合管にかけてのミネラルコルチコイド受容体においてアルドステロンと拮抗する.スピロノラクトンは非選択性であり,したがって女性化乳房のような副作用が生じることがあるが,選択性ミネラルコルチコイド拮抗薬であるエプレレノンではその頻度は低い.両者とも降圧薬として用いられるが,第一選択薬(主要降圧薬)としてではなく,治療抵抗性高血圧に適応がある.2007年に発表されたASCOT-BPLA試験では3剤の降圧薬(アムロジピンベースの治療群ではペリンドプリル,ドキサゾシン,アテノロールベース治療群ではサイアザイド+カリウム補給,ドキサゾシン) で1 4 0 / 9 0 m m H g( 糖尿病では炭酸脱水素酵素抑制経口生体有効利用率(%)蛋白結合(%)排泄経路排泄半減期(時間)ハイドロクロロチアジド(HCTZ)+ 60~70% 40% 95%腎臓9~10トリクロルメチアジド該当資料なし該当資料なし該当資料なし68%尿中排泄(24時間)1.6クロルタリドン+++ 65% 99% 65%腎臓50~60インダパミド++ 93% 75% 肝代謝14表2サイアザイト系および類似利尿薬の薬物動態〔参考文献6)より引用改変〕