カレントテラピー 31-10 サンプル page 22/32
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カレントテラピー 31-10 サンプル
70 Current Therapy 2013 Vol.31 No.101067Ⅰ はじめに降圧薬としての利尿薬にはサイアザイド系および類似利尿薬,抗アルドステロン薬,抗アルドステロン作用を有しないカリウム保持性利尿薬がある.またループ利尿薬は降圧薬ではないが,腎機能低下を伴う高血圧患者では使用される.本稿ではこれらについてそれぞれの特徴を概説し,考察を加えた.Ⅱ サイアザイド系およびサイアザイド類似利尿薬サイアザイド系およびサイアザイド類似利尿薬はいくつかの臨床試験で他の降圧薬と遜色ない心血管リスク減少効果が報告され,各種ガイドラインにも主要降圧薬のひとつとして位置づけられている.また本邦でも利尿薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の合剤が登場し,使用頻度は多くなっている.本稿では合剤として使用されているヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide:HCTZ)と他のサイアザイド系および類似利尿薬の差異について主として臨床試験の成績から考察する.1 サイアザイド系およびサイアザイド類似利尿薬の歴史とエビデンスの概観利尿薬は1950年代後半にはじめて降圧薬として導入された.もともと1930年代にスルホンアミドが近位尿細管の炭酸脱水素酵素の抑制により利尿作用を呈することから利尿薬の研究がはじまった.その後遠位尿細管でナトリウム(Na)- 塩素(Cl)共輸送体に働きNaの再吸収を抑制するクロロチアジドやクロルタリドンが発見され,1958,1959年にMoserやFreisが臨床試験で血圧が下がることをはじめて報告した1),2).この論文にはすでにクロロチアジドは単独ではなかなか降圧できず併用薬として有効である,すなわち利尿薬は他の降圧薬の作用を増強するという記載がある.現在の利尿薬治療に通じる原則各種利尿薬の使い分け植田真一郎** 琉球大学大学院医学研究科臨床薬理学分野教授減塩運動の効果と今後の展望サイアザイド系および類似利尿薬は主要降圧薬のひとつであり,現在では低用量でレニン-アンジオテンシン系(RAS)抑制薬と併用されることが多い.プラセボとの比較,他剤との比較,併用等心血管イベント抑制に関してさまざまな臨床試験でのエビデンスを有する.最近本邦で合剤として用いられるヒドロクロロチアジド(hydrochlorothiazide:HCTZ)と欧米の臨床試験で用いられてきたクロルタリドン,インダパミドの間に薬物動態学的な違いのみならず心血管イベント抑制作用についても違いが存在する可能性が示唆されている.抗アルドステロン薬は第一選択薬としては用いられないが,治療抵抗性高血圧における降圧作用が証明されている.a b s t r a c t