カレントテラピー 31-10 サンプル page 14/32
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カレントテラピー 31-10 サンプル
Current Therapy 2013 Vol.31 No.10 23減塩運動の現状と展望1020圧値は2.2mmHg低下するとの試算がなされており11),本邦では健康日本21(第2次)の策定時に,集団(40~89歳)の収縮期平均血圧を4mmHg低下させると脳血管疾患死亡率が男性で8.9%,女性で5.8%の低下,虚血性心疾患死亡率が男性で5.4%,女性で7.2%低下するとの試算がなされている12).個人の血圧値4mmHgの変化は誤差の範囲と考えられるかもしれないが,集団全体の平均値の変化では,たった4mmHgの血圧低下でも大きな効果が期待できる.国民全体の食塩摂取量は最近の調査では約11gまで減少することができたが,目標値である男性9g,女性7.5g未満は達成できておらず,この数年間は下げ止まっている.食塩の過剰摂取と血圧上昇は関連しているという知識は男女ともに約90%が有しており13),国民全体に浸透しつつあるが,知識を実践に結び付ける減塩については停滞状態であり,中食利用割合の増加した現代の日本において,減塩は個人の努力だけでははなはだ困難な状況であると言わざるを得ない.効果的な減塩対策として,加工食品やレストランなどの食塩含量の低下のみならず,マスメディアなどを用いた公衆の健康教育や塩分表示など,複数のツールを組み合わせたポピュレーション・アプローチおよびその効果について,さらなる活動とその成果報告が望まれる.参考文献1) Rose G:The strategy of preventive medicine. New York(NY):Oxford University Press, USA, 19922) Ueshima H, Tatara K, Asakura S, et al:Declining trends inblood pressure level and the prevalence of hypertension, andchanges in related factors in Japan, 1956-1980. J Chron Dis40:137-147, 19873) Takahashi E, Sasaki N, Takeda J, et al:The geographic distributionof cerebral hemorrhage and hypertension in Japan.Hum Biol 29:139-166, 19574) 国立健康・栄養研究所監:第1部 栄養素等摂取状況調査の結果.国民健康・栄養の現状-平成21年厚生労働省国民健康・栄養調査報告書より-. pp55-pp73, 第一出版, 東京, 20125) 厚生労働省:国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針. 20126) National High Blood Pressure Education Program WorkingGroup:National High Blood Pressure Education Programworking group report on primary of hypertension. ArchIntern Med 153:186-208, 19937) 日本高血圧学会減塩委員会:減塩の重要性と減塩委員会の活動について. http://www.jpnsh.org/com_salt.html(2013.6.30)8) Anderson CA, Appel LJ, Okuda N, et al:Dietary sources ofsodium in Japan, People’s Republic of China, United Kingdom,and United States:the INTERMAP Study. J Am DietAssoc 110:736-745, 20109) 三浦克之, 安東克之, 土橋卓也ほか:(2)高血圧管理における食塩制限の目標と方策, 日本高血圧学会減塩委員会報告2012.pp27-pp37, 日本高血圧学会, 201210) 松浦秀夫, 中東教江:高血圧患者さんのための減塩食レシピ.日本高血圧学会減塩委員会報告. 日本高血圧学会, 東京, 201211) Stamler J, Rose G, Stamler R, et al:INTERSALT study findings.Public health and medical care implications. Hypertension14:570-577, 198912) 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会, 次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会:(2)主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底, 健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料. pp32-pp62, 201213) 宮川尚子, 大久保孝義, 門田 文ほか:高血圧の原因となる生活習慣の認知度:国民代表集団NIPPON DATA2010における検討, 第35回日本高血圧学会総会プログラム・抄録集. p426, 2012図3 高血圧患者さんのための減塩食レシピ(日本高血圧学会減塩委員会報告)