カレントテラピー31-1 サンプル

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橋本病の病態と治療高甲状腺機能低下症潜在性甲状腺機能低下症血清TSH正常視床下部性甲状腺機能低下症正常TSH産生腫瘍甲状腺不応症低下垂体性甲状腺機能低下症Low T3症候群潜在性甲状腺機能亢進症甲状腺中毒症低正常....

橋本病の病態と治療高甲状腺機能低下症潜在性甲状腺機能低下症血清TSH正常視床下部性甲状腺機能低下症正常TSH産生腫瘍甲状腺不応症低下垂体性甲状腺機能低下症Low T3症候群潜在性甲状腺機能亢進症甲状腺中毒症低正常Free T4高図2血清TSHと血清遊離T4値と甲状腺疾患2成人期成人期における臨床症状を表2に示す.これらの症状は甲状腺機能低下症に特異的なものではなく,特に高齢者では,認知症症状,うつ傾向などが指摘された場合,一度は甲状腺機能低下症を疑い精査する必要がある.他覚所見としては,典型例では口唇や舌が厚く浮腫状の顔貌(粘液水腫様顔貌),嗄声,脱毛,眉毛外側1/3が薄い,皮膚は乾燥し粗造,手掌のカロチンの沈着による黄染,手足には浮腫状で圧痕を残さないnon-pitting edema(粘液水腫),徐脈,アキレス腱反射の弛緩相の延長などが認められる.また,女性では月経過多や不妊の原因となることもある.橋本病によるものであれば硬い甲状腺腫が触知される.まれではあるが重度の甲状腺機能低下症により意識障害,呼吸不全,低血圧などを起こすこともあり粘液水腫性昏睡とよばれる(Ⅳ章参照).Ⅳ甲状腺機能低下症の診断1問診,身体所見(表2)使用薬剤や健康食品の有無,ヨードの過剰摂取,中枢性の甲状腺機能低下症の原因とし意識障害を伴う頭部外傷の既往(10年以上前でも),妊娠出産時の様子(頭痛,発熱,乳汁分泌の異常など)に注意し問診する.症状は上記に示したが,甲状腺機能低下症に特異的なものでないため十分に注意する.また,中枢性甲状腺機能低下症の原因は下垂体腫瘍が多く,視野や視力障害,さらにその他の下垂体前葉ホルモン系の異常に伴う症状,月経の異常や性腺系の異常,ホルモンの過剰による先端巨大症や乳汁分泌の症状の問診も必要である.そして甲状腺は入念に触診し,慢性甲状腺炎の有無などに注意を払う.2血液学的検査の進め方(表2)甲状腺機能低下症の診断は,一般に血中遊離T4とTSHの測定で行う.図2に示したように,遊離T4値が低値でTSHが高値であれば原発性甲状腺機能低下症が最も疑われる.遊離T4値が基準値内で,TSHのみが高値のときは,潜在性甲状腺機能低下症が疑われる.遊離T4値が低値でTSHが正常あるいは低値であれば,中枢性甲状腺機能低下症もしくは低T3症候群(重症例)が考えられる.下垂体腫瘍などによる中枢性甲状腺機能低下症の多くは,血清TSHが正常を示している.また,視床下部性のCurrent Therapy 2013 Vol.31 No.11111