カレントテラピー31-1 サンプル

カレントテラピー31-1 サンプル page 6/28

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表1甲状腺機能低下症の分類1甲状腺ホルモンの合成・分泌の低下により甲状腺ホルモンが不足する場合A.原発性甲状腺機能低下症(1)後天性1.自己免疫性(慢性甲状腺炎,阻害型TSH受容体抗体,インターフェロン療法後....

表1甲状腺機能低下症の分類1甲状腺ホルモンの合成・分泌の低下により甲状腺ホルモンが不足する場合A.原発性甲状腺機能低下症(1)後天性1.自己免疫性(慢性甲状腺炎,阻害型TSH受容体抗体,インターフェロン療法後,IgG4関連疾患など)2.ヨード過剰(日本ではまれだがヨード不足)3.甲状腺の手術,照射,アイソトープ治療後4.破壊性甲状腺中毒症の回復期(無痛性甲状腺炎,亜急性甲状腺炎,産後甲状腺炎,橋本病の急性増悪)5.浸潤性病変(悪性リンパ腫,アミロイドーシスなど)6.薬剤の服用(抗甲状腺剤,アミオダロン,リチウム製剤など)(2)先天性1.ホルモン合成障害(有機化障害,Na/Iシンポーターの異常など)2.先天性の甲状腺無形成や低形成,異所性甲状腺腫B.中枢性甲状腺機能低下症a.下垂体性甲状腺機能低下症(1)後天性1.腫瘍性(下垂体腫瘍,頭蓋咽頭腫,転移性腫瘍など)2.ラトケ嚢胞3.シーハン症候群,出血性下垂体壊死4.下垂体の手術,照射後5.後天性TSH単独欠損症6.リンパ球性下垂体前葉炎(IgG4関連疾患も含む)7.薬剤性(GH製剤,副腎皮質ホルモン製剤,ドーパミン製剤,レチノイド受容体リガンドなど)8.肉芽腫(サルコイドーシス,ヒスティオサイトーシスなど)9.コントロール不良のバセドウ病母の児10.特発性(2)先天性1.複合型下垂体前葉機能不全(Pit -1遺伝子異常,LHX3,HESX1遺伝子異常など)2.TSH単独欠損症3.TRH受容体異常症b.視床下部性甲状腺機能低下症(1)後天性1.視床下部腫瘍(下垂体腫瘍の視床下部浸潤,頭蓋咽頭腫など)2.脳の手術,照射後3.頭部外傷後4.特発性2甲状腺ホルモンの作用が不足する場合甲状腺ホルモン不応症(甲状腺ホルモン受容体βの異常など)3甲状腺ホルモンが過剰に代謝消費される場合肝臓血管腫による3型脱ヨード酵素の過剰発現モンの作用が低下した状態」と定義されている.血中甲状腺ホルモンは,図1のように主に視床下部?下垂体?甲状腺系により制御されている.この系のいずれの障害によっても甲状腺機能低下症は起こり得る.以下,甲状腺機能低下症の分類について述べる.1原因による分類(表1)甲状腺機能低下症は,1甲状腺での甲状腺ホルモンの合成や分泌が低下し標的臓器への甲状腺ホルモンの供給が低下した状態,2標的臓器への甲状腺ホルモン作用機構の異常のためホルモン作用が低下した病態,さらに3甲状腺ホルモンの代謝が亢進した病態に分類される.1では,甲状腺を原因とする原発性甲状腺機能低下症がある.世界的にはヨード摂取不足が最も多いが,ヨード摂取が十分である地域においては慢性甲状腺炎(橋本病)によるものが多い.また,頻度は低いが下垂体を病因とする二次性(下垂体性)や視床下部に原因のある三次性(視床下部性)甲状腺機能低下症がある.二次性ならびに三次性甲状腺機能低下症は,血中の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin -releasing hormone:TRH)の測定系Current Therapy 2013 Vol.31 No.199