カレントテラピー31-1 サンプル

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概要:
浸潤を認める疾患群である.また,特徴的な病理所見として,線維束が錯綜する花筵様線維化や閉塞性静脈炎がある.病因は不明であるが,自己免疫異常を伴い,複数の臓器に認められることが多い.治療は多くの症例でス....

浸潤を認める疾患群である.また,特徴的な病理所見として,線維束が錯綜する花筵様線維化や閉塞性静脈炎がある.病因は不明であるが,自己免疫異常を伴い,複数の臓器に認められることが多い.治療は多くの症例でステロイドが有効である.血清中の4種類のIgG分画中,健常人ではIgG4が最も低い割合である.一方,近年提唱された本邦でのIgG4関連疾患診断基準では,血液学的に高IgG4血症(135mg/dL以上),病理学的にはリンパ球と形質細胞の浸潤を伴った線維化があり,IgG4陽性形質細胞が強拡大の視野で10以上かつIgG4/IgG陽性細胞比40%以上の所見を認めるものである.橋本病での手術理由は,著明な甲状腺腫大,痛みや炎症所見が激しいもの,悪性疾患の合併が疑われるもの,などが挙げられる.このような手術症例の甲状腺組織を用いて,免疫組織化学的にIgG4の発現レベルを検討したところ,現行の診断基準とは若干異なるが,約30%の症例に有意なIgG4陽性形質細胞増加が認められた(図2c)4), 12).これらIgG4関連甲状腺炎の臨床所見は,非IgG4関連甲状腺炎と比較して,男性の比率や甲状腺機能低下症の頻度が高く,発症から手術までの罹病期間は短く,抗甲状腺自己抗体が高力価で,超音波検査でびまん性の低エコーを示す頻度が高いなどの特徴がある.一方,年齢,甲状腺重量,炎症所見に有意な差は認められず,他臓器の線維化病変も認められていない.さらに,血清IgG4濃度は,甲状腺全摘術後には低下傾向を示すことより,IgG4の産生は主に甲状腺組織であると推測される.橋本病でのIgG4関連甲状腺炎の病変部は甲状腺内に限られているが,他のIgG4関連疾患では全身性線維化病変を合併しやすい点が異なっている.一方,Riedel甲状腺炎は約30%が経過中に他臓器の線維化病変を合併し,ステロイド治療が有効であるため,臨床的観点からはIgG4関連疾患と類似している13).閉塞性静脈炎は,Riedel甲状腺炎とIgG4関連疾患に共通した特徴的な病理所見である(図2b).しかし,橋本病でも閉塞性静脈炎が認められることもあり,この病理所見のみではIgG4関連甲状腺炎の診断根拠とはならない.実際,Riedel甲状腺炎に対するIgG4の免疫組織化学的検討において,IgG4関連疾患の診断基準を満たすか,やや低いレベルで同定される例はある14), 15).しかし,血清学的に高IgG4血症を伴った報告例は現時点ではなく,当院のRiedel甲状腺炎患者に対し橋本病同様の検討を行ったところ,有意なIgG4陽性形質細胞増加症例はみつかっていない.Riedel甲状腺炎は非常にまれな疾患であり,橋本病と比較すると症例数は非常に少ないため,両者を単純に比較するのは困難である.また,橋本病の線維性亜型ではIgG4関連甲状腺炎の頻度が高く,Riedel甲状腺炎と区別が困難なときもあるため注意する必要がある.Ⅴおわりに橋本病は,自己免疫疾患としての観点からさまざまな研究がすすめられ,臨床病態にかかわる機序が少しずつ明らかにされてきた.さらに,血清学的・免疫組織化学的にIgG4レベルを検討したところ,いくつかの臨床所見がIgG4関連甲状腺炎と有意な相関があることが明らかになった.通常の橋本病ではTh1優位であるが,どのような免疫学的な変化によってIgG4産生にかかわるTh2へシフトしているのか,甲状腺特異的にIgG4へのクラススイッチが引き起こされているのか,などの疑問点に対しては今後の検討が必要である.橋本病の多様な臨床病態を理解する際には,免疫学的・病理学的所見を,より多角的な観点から対比していくことの重要性が改めて認識させられる.参考文献1)Hashimoto H:Zur Kenntniss der lymphomatosen veranderungder schilddruse(Struma lymphomatosa). Arch KlinChir 97:219-248, 19122)Yoshida H, Amino N, Yagawa K, et al:Association of serumantithyroid antibodies with lymphocytic infiltration of thethyroid gland:studies of seventy autopsied cases. J ClinEndocrinol Metab 46:859-862, 19783)Li Y, Bai Y, Liu Z, et al:Immunohistochemistry of IgG4 canhelp subclassify Hashimoto’s autoimmune thyroiditis. PatholInt 59:636 -641, 20094)Li Y, Nishihara E, Hirokawa M, et al:Distinct clinical, sero-64Current Therapy 2013 Vol.31 No.164