カレントテラピー31-1 サンプル

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甲状腺機能異常研究の最前線abCCc図2Riedel甲状腺炎とIgG4関連甲状腺炎Riedel甲状腺炎の病理所見(a,b)濾胞上皮は認められず,太い膠原線維の増生(C)が目立つ結合組織で,リンパ球・形質細胞の浸潤を伴っている....

甲状腺機能異常研究の最前線abCCc図2Riedel甲状腺炎とIgG4関連甲状腺炎Riedel甲状腺炎の病理所見(a,b)濾胞上皮は認められず,太い膠原線維の増生(C)が目立つ結合組織で,リンパ球・形質細胞の浸潤を伴っている(HE染色).閉塞性静脈炎(矢頭)の所見も認められる(Victoria blue-HE染色).IgG4関連甲状腺炎(橋本病タイプ)の免疫組織化学所見(c)浸潤する形質細胞の半数以上は,IgG4陽性細胞である(IgG4免疫染色).Ⅲ橋本病の病理所見橋本病の病期ごとの分類として,以下のようなカテゴリーがあり,1散在性甲状腺炎,2通常型の橋本病,3線維性亜型,4萎縮性甲状腺炎.に分けられる.1では橋本病の病理所見が甲状腺内の一部に限局している.一般的に,1から4に進むにつれて濾胞の破壊が著明になり,甲状腺機能は正常から次第に低下する.橋本病の経過中に甲状腺腫大をきたす例では,病理学的に著明な線維化を伴う線維性亜型であることが多い.一方,甲状腺が著明な萎縮性変化をきたすときも線維化の増生が目立ち,永続性の甲状腺機能低下症に進行する.患者の年齢も2に比べ1は若年に多く,3,4は高齢者に多い.橋本病において,炎症が波及している部位の甲状腺濾胞は小型化し,コロイドは濃縮あるいは消失する.濾胞上皮の核は腫大し,クロマチンの淡明化など,一見乳頭癌に類似した所見を呈する.また,濾胞上皮の細胞質は腫大し好酸性変化を呈するようになる.その細胞質の構成成分は正常な機能を喪失し,腫大した多数のミトコンドリアが主体となっている.さらに,扁平上皮化生も認められることがあり,線維化の著明な例でその頻度が高い.橋本病は線維化が著明であっても甲状腺内にとどまるため,甲状腺外に及ぶ線維化を認めるときは,Riedel甲状腺炎を考える必要がある.Riedel甲状腺炎は,自己免疫疾患の合併例もあるが,普遍的な免疫学的所見は乏しいため,橋本病の亜型よりは独立した疾患と考えられる.甲状腺は石のように硬く腫大し,比較的緩徐な進行であるが,線維化が広範囲に及ぶと気管圧迫・呼吸困難症状も呈する.病理所見では,甲状腺周囲まで線維化が及ぶことが最も特徴的である.また好酸性化生は乏しく,リンパ濾胞は欠如あるいは少ない(図2a,b).ⅣIgG4関連甲状腺炎の臨床・病理像IgG4関連疾患は,2001年にHamanoらによる自己免疫性膵炎患者での高IgG4血症の報告が契機であり11),多臓器において線維化とIgG4陽性形質細胞のCurrent Therapy 2013 Vol.31 No.16363