カレントテラピー 30-9 サンプル page 13/28
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前立腺癌治療の観点?排尿負担感a)RP?BT排尿機能(尿失禁)は,RPのスコアが劣るものの,排尿負担感に関しては一時的にRPが優位であり,治療後1年経過すると両者に差はないという興味深い結果であった21).排尿負担....
前立腺癌治療の観点?排尿負担感a)RP?BT排尿機能(尿失禁)は,RPのスコアが劣るものの,排尿負担感に関しては一時的にRPが優位であり,治療後1年経過すると両者に差はないという興味深い結果であった21).排尿負担感の本質は,UCLA -PCIの項目に含まれない閉塞症状,頻尿などの刺激症状を反映した結果であった21).b)RP=EBRT排尿機能(尿失禁)は,RPのスコアは劣るものの,排尿負担感に関しては両者に差はないという興味深い結果であった18).これも,RPとBTの比較研究から得られた閉塞症状,刺激症状を反映していると考えられた.?性機能a)RPとBTとの比較:(優位性)BT?RP神経温存が70~80%のコホートでの開放およびロボット支援下RPとBTを比較した成績では,治療後3年でも有意にBTが優れていた22).なお,BTの長期的QOLに関しては,BT単独では5年で勃起機能温存率が76%23),ホルモン療法(ADT)24)~26やEBRT併用で5年で約50%程度)と勃起機能温存率は,優れた外科医が両側神経温存RPを施行した成績とほぼ同等である27).最近のBT後のQOLに関する報告でも,単独,ADT,EBRTを含むコホートでは治療後5~10年で63%の勃起機能温存率であった28).日本人を対象とした成績でも,治療後12カ月で,BTが両側神経温存RPよりも優れていた21).b)RPとEBRTとの比較:(優位性)EBRT?RP治療後5年という長期でみた場合には,EBRTのスコアは徐々に低下し,RPと同じくらいになるという報告がある11).一方,Zelefskyら25),29)によると,勃起機能温存率は,3D -CRT後5年で57%,IMRT後8年で51%という優れた結果であった.?排便機能a)RPとEBRTとの比較:RP>EBRT治療後2年目くらいまではRPが優れているが,5年目までにはRPとEBRTとの差はみられなくなる11).b)RPとBTとの比較:RP=BT治療後1年までに両者で排便機能および負担感ともに差はみられない21).以上,UCLA -PCIのスコアからは,排尿機能や性機能に関してRPはBTに比較して優位性がないようである.それでは,先ほど排尿負担感の項目で述べたように,UCLA -PCIに含まれないobstructive/irritativesymptomsを評価したらどうだろうか?という視点が残る.c)Obstructive/irritative scoreからみた長期的比較:(優位性)RP>EBRT,BT国際前立腺症状スコア(international prostatesymptom score:IPSS)上,RP後は,ベースラインと比較した場合obstructive symptomは有意に改善する(術後12カ月時点)30).また,EPICでみるとRPはEBRTやBTに比較して,短期的(1年程度)にも長期的(6年程度)にも優れていることが報告された17),31).d)Obstructive/irritative scoreのベースラインレベル別の比較・ベースラインスコアが悪いとき:(優位性)RP>EBRT,BTNamikiら30)は,頻尿,夜間頻尿に関してベースラインでIPSSスコアが悪いほど,RPによりスコアが改善することを報告した.その後,海外でもobstructive/irritative scoreが悪いほど,EBRTやBTに比較してRPによる機能改善が著明であることが示された32),33).ⅥQOLのさらなる改善の余地について性機能に関しては,神経温存術式の積極的併用と術後早期からのホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬の投与により,成績の向上が期待できるようになった.Namikiら34)は,神経温存術式が術後の尿禁制回復にも良い影響を与えたと報告している.また,腓腹神経を用いた自家神経移植が性機能スコアを向上させたという報告もあるが35)~38),さまざCurrent Therapy 2012 Vol.30 No.989729