カレントテラピー 30-9 サンプル

カレントテラピー 30-9 サンプル page 12/28

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り,将来骨転移やリンパ節転移を生じ,進行前立腺癌になる可能性が高い.そのため,根治性の観点から治療選択肢は限られてくる.高リスク前立腺癌に対するRP単独の5年非再発率は50~60%前後で7),9),手術適応に....

り,将来骨転移やリンパ節転移を生じ,進行前立腺癌になる可能性が高い.そのため,根治性の観点から治療選択肢は限られてくる.高リスク前立腺癌に対するRP単独の5年非再発率は50~60%前後で7),9),手術適応に関しては議論のあるところであるが,organ -confined cancerであれば治療成績は良いことが報告されている7),10).中リスク群と同様,密封小線源療法は適応外とされてきたが,EBRTと内分泌療法併用によりその適応は広がりつつある.現在,高リスク前立腺癌に対する密封小線源・EBRT併用療法におけるホルモン治療の有効性に関する多施設臨床研究(TRIP臨床試験)が進行中である.ⅣQOL1 QOLの大切さ局所前立腺癌の患者は,受けた治療の後遺症をもちながら何年も生きるため,各種治療がQOLに及ぼす長期の結果を理解することが重要である11).2 QOLの評価方法前立腺癌疾患特異的QOL調査票としてUCLA -PCIが広く用いられてきた12).しかし,排尿機能は尿失禁しか見ていないという問題もあり,症状をより詳細に検討したUCLA - PCIの発展型であるExpanded Prostate Cancer Index Composite(EPIC)が2000年に開発され13),本邦でもKakehiら14)がEPICの日本語バージョンを作成し,その妥当性を検証している.包括的QOL評価方法としてSF - 36がある.UCLA - PCIではSF - 36が組み合わされており,EPICのオリジナルではSF -12を項目に加えている.また,EPIC日本語バージョンでは,妥当性が評価されたSF -8をリンクさせている.ⅤQOLの面からみた各種治療法の特徴1包括的QOLRP後の包括的QOLに関する東北大学からの報告では,包括的QOL(SF -36)は,6カ月以降長期的に安定しており,RPの影響を受けないとしている.なかでも,mental health,social function, role ofemotionalがベースラインと比較して,長期的に改善していた15).なお,高い心の健康は,癌再発の恐怖が低いこと,治療の満足感が高いことが関連することがSF -36を用いた調査で報告されている16).ただし,RP,EBRT,小線源療法(BT)間の比較では,各治療後6年目までの長期的包括的QOL(SF -12)に3者間で有意差はなかったと報告されている17).2前立腺(疾患)特異的QOLRP,EBRT,BT間で比較することにより,各治療法後のQOLの特徴が明らかになる.なお,機能スコアが高いというのは,尿失禁の程度が低い,性機能が良い,排便機能が良いという意味であり,負担感に関してスコアが高いことは,負担感が少ないことを意味する.1)UCLA -PCIおよび類似のQOL instrumentsで比較した場合?排尿機能(尿失禁)a)RPの長期成績UCLA -PCIからみたRP後の排尿機能(尿失禁)は,平均スコアはベースラインの80%(ほぼ満足できるスコア)レベルにとどまるが,長期的(術後5年)には安定するという長所がある15).b)RPとEBRTとの比較:(優位性)EBRT>RP18)~20治療後1~2年目までの短期的比較),治療後511年目までの比較)においてもEBRTの排尿機能(尿失禁)スコアが優れているという結果であった.しかしながら,短期比較では,排尿負担感に差はみられなかった.これは,EBRTでobstructive/irritativesymptomsが生じやすいことが影響しているためと考えられる.c)RPとBTとの比較:(優位性)BT>RP21治療後1年)22,3年)でもBTの排尿機能スコアが優れている.一方,排尿負担感は,治療後3,6カ月ではRPが優れるという結果であったが,12カ月では両者に差はみられなかった21).28Current Therapy 2012 Vol.30 No.9896