カレントテラピー 30-8 サンプル page 14/28
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心血管病変に陥っている割合(%)0.20実線は変化せずもしくは増加した場合破線は減少もしくは低値のままであった場合0.150.100.0500 10 20 30 40 50 60 70(月)時間図3LIFE試験における心血管イベントと微量アルブ....
心血管病変に陥っている割合(%)0.20実線は変化せずもしくは増加した場合破線は減少もしくは低値のままであった場合0.150.100.0500 10 20 30 40 50 60 70(月)時間図3LIFE試験における心血管イベントと微量アルブミン尿の変化との関係微量アルブミン尿が抑制されるとそれに伴って心血管系イベントが抑制されている.〔参考文献10)より引用改変〕微量アルブミン尿を下げること,血圧を下降させること,左心室肥大を退縮させることが一体となって脳卒中や心血管系イベントを有意に低下させたことは注目すべき結果である.すなわち,高血圧によってもたらされる病変として多いのは心臓や腎臓よりも脳血管障害であることは以前より知られていた.さらに降圧治療が脳血管事故を減少させると考えられてきたが,このように微量アルブミン尿を減らした左心室肥大を退縮させることが,実は脳血管事故の減少に繋がることをこのLIFE試験は初めて明確に示したといえる.このことは最近東北大学の伊藤らが脳と腎臓の血管走行に注目し,微量アルブミン尿をきたすような腎臓での血管に対する血圧の影響が同時に脳の血管障害を生じてくるという仮説に立って考えると,より説得力が増すと思われる.いる役割は大きい11).また塩は腎機能障害を進展させ,かつアルブミン尿やタンパク尿と密接に関連していることが示されている.さらに左心室肥大も塩分過剰と関連していることより,高血圧症による心腎連関の治療の基礎は減塩にあるといっても過言ではない.ではどの位の減塩が必要なのかについては十分な検討がなされていないが,1日6g未満とするのがひとつの目安であるといえる.2レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系心腎連関の鍵を握っているのはRAA系であるといってもよい.すなわち,RAA系の亢進は血圧の上昇,容量の増加,タンパク尿・アルブミン尿の増加から正に心臓と腎臓の双方に障害を与えていく.このRAA系をいかに抑制するかが心腎連関の治療の成否を決定する.腎臓からの目安でいえばアルブミン尿やタンパク尿が減少すること,少なくともⅣ高血圧による心腎連関に関連する因子への治療介入高血圧による心腎連関で重要な役割を果たしているのは塩分,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系交感神経である.したがってこの3つの要素に対する介入が必要とされる.1塩・利尿薬塩は高血圧の原因として,最も中心をなしている因子である.高血圧の治療の第一歩は減塩から始まるといわれているように,塩が血圧調節に果たしてRAA系抑制薬といわれているアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬,ARB,直接的レニン阻害薬(DRI)のいずれを用いても30~50%,あるいは1g/日未満へ減少させることが腎機能障害の進行を抑制するとしている12),13).また心臓,特に心不全に対してもRAA系抑制薬は心筋の線維化などを阻止することで,心臓に対してもよい方向に作用するとされている.したがって,RAA系抑制薬は心腎連関により生じている病態を断ちきるには最も適した薬剤といえる.ではRAA系抑制薬にはACE阻害薬,ARB,DRIではどの薬剤が心腎連関より生じている56Current Therapy 2012 Vol.30 No.8784