カレントテラピー 30-8 サンプル

カレントテラピー 30-8 サンプル page 13/28

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図1微量アルブミン尿と糸球体の構造について糖TNF―αIGF―1酸化ストレスVEGFアルブミンを吸収したGlycocalyx内皮細胞基底膜足突起細胞と基底膜のスリット足突起細胞糸球体の基底膜ではアルブミンを一般には通り抜け....

図1微量アルブミン尿と糸球体の構造について糖TNF―αIGF―1酸化ストレスVEGFアルブミンを吸収したGlycocalyx内皮細胞基底膜足突起細胞と基底膜のスリット足突起細胞糸球体の基底膜ではアルブミンを一般には通り抜けできないように2つのバリアーが想定されている.ひとつは電荷で,アルブミンは陰性にかつ基底膜も陰性に荷電しているために,相互に反発する形のバリアーがある.もう一つは,アルブミンは分子量が6万あり,この孔の大きさを通り抜けることはできない.しかし血糖が高くなると酸化ストレス,あるいはサイトカイン(insulin growth factor:IGFやvascular endothelial growthfactor:VEGF)などを介して電荷に変化がもたらされ,アルブミンが糸球体より尿管に漏出される.〔参考文献5)より引用改変〕糸球体から濾過されたタンパクアルブミンの返還されていく取り込みアルブミンの分解産物ライソゾームで分解図2近位尿細管におけるアルブミンの再吸収機構糸球体より濾過されたアルブミンは近位尿細管に到達するとmegalin,cublinというアルブミン結合タンパクと結合し,エンドサイトーシスにより近位尿細管細胞に再吸収されていく.この再吸収されたアルブミンはライソゾームに取り込まれ,一部が分解され,小分子のタンパクとなって再度尿細管から尿管へと分泌されていく.〔参考文献8)より引用改変〕度のタンパクとされて尿中に出てくる7),8).腎硬化症,糖尿病,メタボリックシンドロームなどでは,しばしばこの微量アルブミン尿が認められる.さらに高血圧に関連する多くの因子(左心室肥大,夜間高血圧など)とよく相関することが示されている9).Ⅲ大規模臨床試験にみる心腎連関Losartan Intervention For Endpoint reductionin hypertension study(LIFE)のロサルタン高血圧介入試験が,高血圧における微量アルブミン尿と心血管系イベントの関連を見事に示している(図3)10).高血圧で左心室肥大を有する患者を対象とし,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)であるロサルタンと,β遮断薬であるアテノロールの比較試験として行われた.結果は心血管系疾患死,脳卒中,心筋梗塞を合わせた一次エンドポイントで,ロサルタンはアテノロールより有意にイベントの発生率を抑制することに成功したが,両者間での降圧には差が認められなかった.一方左心室肥大の退縮効果をみると,ロサルタンは左心室肥大の評価の方法にもよるが,少なくとも10%以上退縮させたが,アテノロールは7~8%前後であった.このLIFE試験で,Current Therapy 2012 Vol.30 No.878355