カレントテラピー 30-7 サンプル page 4/30
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糖尿病の薬物療法―最新の治療と将来展望―企画国立国際医療研究センター病院糖尿病研究連携部長野田光彦エディトリアル糖尿病は心血管疾患のリスクを高め,神経障害,網膜症,腎症,足病変といった合併症を併発する....
糖尿病の薬物療法―最新の治療と将来展望―企画国立国際医療研究センター病院糖尿病研究連携部長野田光彦エディトリアル糖尿病は心血管疾患のリスクを高め,神経障害,網膜症,腎症,足病変といった合併症を併発するなどによって,生活の質(quality of life:QOL)ならびに社会経済的活力と社会保障資源に多大な影響を及ぼす.実際糖尿病は,現在,新規透析導入の最大の原因疾患であるとともに,成人中途失明の原因疾患としても第2位に位置しており,さらに,心筋梗塞や脳卒中のリスクを2~3倍増加させるとされている.わが国の糖尿病有病者数は,2007年の調査において,「糖尿病が強く疑われる人〔HbA1c(JDS)6.1%以上,もしくは質問票で現在糖尿病の治療を受けていると答えた人〕」は約890万人,「糖尿病の可能性が否定できない人〔HbA1c(JDS)5.6%以上~6.1%未満で,「糖尿病が強く疑われる人」以外の人〕」が約1,320万人であった.両者を合わせると約2,210万人で,「糖尿病が強く疑われる人」は10年前の1997年と比べて約1.3倍に増えており,わが国の人口構成の高齢化に伴って,増加ペースの加速することが示唆される.「健康日本21」の最終評価における年齢別の検討では,1997年から2007年の間で,「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性が否定できない人」の増加は,男性で60歳代,70歳以上で,女性では50歳代,60歳代で大きかった.一方,糖尿病に関する医療費は,糖尿病の合併症を含めて約2兆円におよび(2005年),また,脳血管疾患,虚血性心疾患の多くは糖尿病に起因すること,悪性新生物に関しても,糖尿病によるリスク上昇と関係することが示唆されており,医療経済的にも糖尿病の有するインパクトは大きい.本特集では,このようにますます重要性を増す糖尿病の治療について,近年進展著しい糖尿病の薬物療法を中心に,各分野のオピニオンリーダーの先生方にご執筆いただいた.また,開発中の薬剤に関しても,最新の知見をご提供するべく,各薬剤に造詣の深い先生方に解説をお願いしている.座談会では,糖尿病臨床の現場でご活躍されている第一人者の先生方にご参集いただき,非常に内容の濃い討論を行うことができたと考えている.本号の特集が糖尿病の薬物療法についての最新情報として,ひと味違った,深みのある読み物として読者諸賢のお役にたつことができれば,企画を行った者として望外の喜びである.Current Therapy 2012 Vol.30 No.75977