カレントテラピー 30-5 サンプル

カレントテラピー 30-5 サンプル page 9/38

電子ブックを開く

このページは カレントテラピー 30-5 サンプル の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
(二日人間ドック:1993~2005年度)SCS(n=132,030)IFOBT(n=131,246)A要精検者数(A/N)10,213(7.7)***7,842(6.0)B精検受診者数(B/A)8,636(84.6)***5,612(71.6)C大腸癌数(C/N)220(0.18)*....

(二日人間ドック:1993~2005年度)SCS(n=132,030)IFOBT(n=131,246)A要精検者数(A/N)10,213(7.7)***7,842(6.0)B精検受診者数(B/A)8,636(84.6)***5,612(71.6)C大腸癌数(C/N)220(0.18)*172(0.13)PPV(C/A)(2.2)(2.2)D早期癌数(D/C)193(87.7)***123(71.5)表3 SCSとIFOBTの比較括弧内の数字は%.*p<0.05,***p<0.001(SCS受診者:9,628人)初回受診3年以内受診3年以上前受診受診者数4,1854,4021,041大腸癌数2055(発見率)(0.48)**(0.11)(0.48)早期癌数1355(比率)(65.0)(100)(100)表4検診受診歴と大腸癌発見率括弧内の数字は%.**p<0.01た癌および検診後1年以内の中間期癌を偽陰性癌としたときの感度・特異度は,IFOBT:57.7%,94.6%,S C S:70.8%,89.8%,併用:88.5%,85.9%であった.したがって,大腸癌の70%が発生する直腸・S字状結腸をSCSで観察し,観察できない深部をIFOBTでチェックするSCS・IFOBT併用検診には,補完効果があり,IFOBT陰性癌対策としてもきわめて有用な手法と思われる.次に,適正な受診間隔について検討した.SCS受診者9,628人を初回受診,3年以内受診,3年以上前受診の3群に分けて検討した(表4).初回受診者では,大腸癌発見率0.48%,早期癌比率65.0%であったのに対して,3年以内受診者ではそれぞれ0.11%,100%であった.3年以上前受診者では,大腸癌発見率は0.48%と初回受診者と同様であったが,早期癌比率は100%であった.すなわち,SCSの効果は少なくとも3年程度は持続するものと思われた.同様に,IFOBT受診者9,257人について検討した.初回受診者では大腸癌発見率0.19%(7/3,674),早期癌比率42.9%(3/7),3年以内受診者ではそれぞれ0.11%(5/4,616),80.0%(4/5)であった.3年以内受診者からも進行癌が発見されることから,IFOBTは逐年検診が望ましいと思われる.切除例の10年生存率(Kaplan -Meier法)は,SCSで98.7%,IFOBTで94.5%とSCSが良好であったが,統計学的有意差はなかった.3全大腸内視鏡検査(TCS)TCSはIFOBT陽性者や有症状者に対する精密検査,人間ドック(スーパーがんドック,消化器ドック,二日ドック)のオプション検査として導入している.1998~2009年度までの受診者数は1,417人で,回盲部到達率96.0%,大腸癌15例(発見率1.06%)が発見されている.TCSは,現状では最も精度の高い大腸検査が可能であり,スクリーニング検査としても理想的な方法と思われる.しかし,検診に導入するには,以下に示すようなさまざまな課題を克服する必要がある.1)術者の養成安全かつ確実に検査が遂行でき,適正数の被験者を処理できる能力が必要.2)偶発症と対策大腸内視鏡による偶発症の頻度は第4回全国調7),8査)によると0.069%,死亡率は0.00088%と報告されている.偶発症の90%以上は出血と穿孔であり,観察時の頻度はそれぞれ0.006~0.014%,0.04~0.12%であった8).TCSで検診を行うには,偶発症を予防する対策(十分な問診,禁忌例の基準化,血管確保,検査中のモニタリング,適正な前投薬など)を十分に講じるとともに,発生時の緊急対応(救急処置,医療機関への搬送など)が可能なシステムを12Current Therapy 2012 Vol.30 No.5386