カレントテラピー 30-5 サンプル page 6/38
このページは カレントテラピー 30-5 サンプル の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。
概要:
(1987~2008年度)(二日法)一日法二日法合計人間ドック地域集検職域集検A受診者数491,791406,230898,021292,68183,42830,121B要精検者数18,08421,79339,87715,3244,9511,518(B/A)(3.7)(5.4)***(4.4)(....
(1987~2008年度)(二日法)一日法二日法合計人間ドック地域集検職域集検A受診者数491,791406,230898,021292,68183,42830,121B要精検者数18,08421,79339,87715,3244,9511,518(B/A)(3.7)(5.4)***(4.4)(5.2)(5.9)(5.0)C精検受診者数11,01915,43026,44910,2114,220999(C/B)(60.9)(70.8)***(66.3)(66.6)(85.2)(65.8)D大腸癌数24342066324616212(D/A)(0.05)(0.10)***(0.07)(0.08)(0.19)(0.04)PPV(D/B)(1.3)(1.9)***(1.7)(1.6)(3.3)(0.8)表1大腸癌検診(IFOBT)成績E早期癌数159 280 439 169 102 9括弧内の数字は%.(E/D)(65.4)(66.7)(66.2)(68.7)(63.0)(75.0)***p<0.001受診率が10~20%程度と低く(大腸癌検診は16.5%,平成21年度地域保健・健康増進事業報告),また要精密検査者の精検受診率も低いため,十分な成果が上がっていないのが現状である.2007年に制定されたがん対策基本法では,がん検診受診率を50%にするという目標が設定され,2011年からは大腸癌検診の受診券配布が開始されたが,目標達成にはほど遠い状態である.今後,がん検診の成果を上げていくためには,精度の高い検診を普及させ,検診受診率を高めるとともに,要精検者に対する徹底した精検受診勧奨を行い,精検受診率を高めていくことが不可欠である.Ⅲ大腸癌検診の方法と成績・課題現在行われている主な大腸癌検診の方法は,IFOBT二日法,S字状結腸内視鏡検査(sigmoidcolonoscopy:SCS),全大腸内視鏡検査(total colonoscopy:TCS)である.対策型検診(集団検診など)では,死亡率減少効果(科学的根拠)のある方法が推奨され,IFOBTが取り入れられている.一方,人間ドックなどの任意型検診でもIFOBTが主流であるが,SCSやTCSを行っている施設もある.以下にそれぞれの検診手法の成績と課題について述べる.1免疫便潜血検査(IFOBT)筆者らは,1978年の日本赤十字社熊本健康管理センター開設以来,便潜血検査による大腸癌検診を行ってきた.1987年には,それまでの化学法に替えて,IFOBT(一日法)を導入し,1992年からは,二日法で行っている.IFOBT検査キットは,OCヘモディア(栄研)を使用した.2008年度までの23年間の成績を表1に示す.一日法,二日法それぞれの受診者数は延べ491,791人,406,230人,要精検者(陽性者)率3.7%,5.4%,精検受診率60.9%,70.8%,大腸癌数243例(発見率0.05%),420例(0.10%),陽性反応適中度(positive predictive value:PPV)1.3,1.9,早期癌比率65.4%,66.7%であった.要精検率,精検受診率,大腸癌発見率,PPVのいずれも二日法が有意に高率であった.合計では,898,021人の受診者から663例(0.07%)の大腸癌が発見され,そのうち439例(66.2%)が早期癌であった.さらに,二日法受診者を一日人間ドック・地域集検・職域集検に分けて検討した.それぞれの要精検率は5.2%,5.9%,5.0%,精検受診率66.6%,85.2%,65.8%,大腸癌発見率0.08%,0.19%,0.04%,PPV 1.6,3.3,0.8,早期癌比率68.7%,63.0%,75.0%であった.地域集検は人間ドックや職域集検と比較して高齢受診者が多く,要精検率・精検受診率・PPVはともに高く,大腸癌発見率は著明に高率であった.職域集検は受診者層が最も若く,大腸癌発見率は最も低かった(表1).IFOBT二日法による大腸癌検診の要点をまとめCurrent Therapy 2012 Vol.30 No.53839