カレントテラピー 30-5 サンプル page 5/38
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大腸癌の診療―標準治療から最新治療まで大腸癌の検診*三原修一現在,免疫便潜血検査(immunochemical fecal occult blood test:FOBT)による大腸癌検診が普及しており,その死亡率減少効果も確認されている.しか....
大腸癌の診療―標準治療から最新治療まで大腸癌の検診*三原修一現在,免疫便潜血検査(immunochemical fecal occult blood test:FOBT)による大腸癌検診が普及しており,その死亡率減少効果も確認されている.しかし,IFOBT陰性癌も高頻度に存在するため,徹底した逐年検診,定期的な大腸内視鏡検査〔S字状結腸内視鏡検査(sigmoidcolonoscopy:SCS)または全大腸内視鏡検査(total colonoscopy:TCS)〕の併用などの対策を講じる必要がある.SCS・IFOBT併用検診は,大腸癌の好発部位である直腸・S字状結腸を内視鏡で観察し,深部大腸をIFOBTでスクリーニングする方法で,補完効果がある.人間ドックなどの施設検診においては導入が比較的容易であり,効果的かつ効率的な検診が期待できる.TCSは一般的には二次検査(精密検査)として行われているが,検診(一次スクリーニング)におけるニーズは高く,徐々に普及していく可能性がある.新たな検診手段として,PET(PET/CT),CT colonography,遺伝子診断などが登場しており,今後の展開に期待したい.また,がん検診の評価を高めていくためには,事後管理体制を整備・強化していくことが不可欠であることを強調しておきたい.Ⅰはじめにわが国では近年,大腸癌罹患・死亡ともに急増しており,今後もさらに増加すると推測されている.2010年度には男性24,125人,女性20,495人が大腸癌で死亡しており,それぞれがん死亡の第3位,第1位となっている.大腸癌による死亡は,この20年間で2倍以上に増加している.この,急増する大腸癌死亡を減らすためには,検診による早期発見・早期治療が不可欠である.筆者らは,長年に亘る大腸癌検診の経験を基に,様々な提言を行ってきたが1)~6),本稿では大腸癌検診の現状と課題,および今後の展望等について述べる.Ⅱ大腸癌検診の歴史と現状わが国では,30年以上前から化学的便潜血検査(グアヤック法)による大腸癌検診が行われてきたが,1980年代にヒトの血液にのみ反応する免疫法が開発され,現在は免疫便潜血検査(immunochemicalfecal occult blood test:IFOBT)による大腸癌検診が普及している.わが国の施策については,老人保健事業の一環として,1992年にIFOBT(二日法)による大腸癌検診が開始され,今日に至っている.現在実施されているがん検診は,胃癌検診,大腸癌検診,肺癌検診,子宮頸癌検診,乳癌検診であるが,いずれの検診も*みはらライフケアクリニック院長(日本赤十字社熊本健康管理センター)8Current Therapy 2012 Vol.30 No.5382