カレントテラピー 30-5 サンプル page 25/38
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Overall Survival(%)A1008060402001990-19911992-19941995-19971998-20002001-20032004-200612 24 36 48 60Time(months)Undergoing Liver ResectionB30201001990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006Year ....
Overall Survival(%)A1008060402001990-19911992-19941995-19971998-20002001-20032004-200612 24 36 48 60Time(months)Undergoing Liver ResectionB30201001990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006Year of DiagnosisRelative Number ofPatients Treated*C87IrinotecanOxaliplatin6 Bevacizumab5 Cetuximab43210 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006Year図1肝切除(Conversion)と分子標的治療薬の導入が進行大腸癌の治療成績向上に大きく寄与MDACC&Mayo Clinic〔参考文献3)より引用改変〕腸癌化学療法症例の治療成績の年次推移を示したものである.1990年以降,年々治療成績の向上が認められており,特に2004年以降の治療成績が格段に良くなっているのがわかる.その理由として,切除不能の状況から切除可能となった,いわゆるconversion(肝切除)例が急速に増加している(図1B)3)ことが挙げられる.その背景には,近年の化学療法の進歩と切除への意識が高まったことがあるのではないかと推察される.実際,図1C 3)に示されているように,2004年以降,従来の抗癌剤に加えて,ベバシズマブやセツキシマブといった分子標的治療薬が軒並み臨床導入され,化学療法における分子標的治療薬の役割が増していることが注目すべき点であろう.以上から,肝切除と分子標的治療薬の導入が近年の進行大腸癌の治療成績向上に大きく寄与しているものと判断される.以下の項では,それぞれの分子標的治療薬における重要な臨床試験結果や注意すべき副作用を示す.Ⅱベバシズマブベバシズマブは,血管新生に必須のVEGFに特異的なヒト化IgG1モノクローナル抗体である.抗VEGF -A抗体として血液中のVEGF -Aに結合することで,VEGFR -1とVEGFR -2受容体への結合をブロックし,それ以下のシグナルを遮断する働きがある.それによって,腫瘍部位での腫瘍血管新生を阻害するとともに,密生して複雑化した腫瘍血管を整備することで腫瘍内の組織間圧を軽減させ,抗癌剤の腫瘍への到達(delivery)を改善する作用機序が推測されている.ベバシズマブの臨床的効果を示す結果が最初にHurwitzらにより報告された(AVF2107g試験)4).本試験では,進行大腸癌における1次治療としてイリノテカン+5 -FU+LV(IFL)+ベバシズマブ群(5mg/kg/2週)とIFL+プラセボ群の無作為化比較試験(RCT)が,全生存期間(overall survival:OS)をプライマリーエンドポイントとして行われ,ベバシズマブ群の生存期間中央値(median survivaltime:MST)が20.3カ月,プラセボ群が15.6カ月であり,ベバシズマブによる明らかな生存期間延長が確認された(HR=0.66,p<0.001)4).その後,5-FU,CPT -11(IFL)治療後の2次治療として本剤とFOLFOX4併用療法のOSにおける有用性も明らかになった(ECOG 3200試験;FOLFOX4+ベバシズマブ群のMSTが12.9カ月,FOLFOX4単独群のMSTが10.8カ月)5).さらに,現在1次治療の化学療法として全世界で最も広く行われているFOLFOX(FOLFOX4)療法またはカペシタビン+L -OHP(CapeOX)療法にベバシズマブのon/offを比較するRCT(NO16966試験)が行われ,プライマリーエンドポイントの無増悪生存期間(progression freesurvival:PFS)は,ベバシズマブ併用群がプラセボ群に比較して有意に延長していた(9.4カ月vs. 8.0カ月,HR=0.83,p=0.0023)6).上記試験ではいずれもベバシズマブ群の忍容性は十分良好であったが,82Current Therapy 2012 Vol.30 No.5456