カレントテラピー 30-5 サンプル page 24/38
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概要:
大腸癌の診療―標準治療から最新治療まで大腸癌治療における分子標的治療薬の位置づけ室*圭a b s t r a c tここ数年進歩著しい分子標的治療薬が,大腸癌治療にも広く用いられるようになり,その標準的治療として組....
大腸癌の診療―標準治療から最新治療まで大腸癌治療における分子標的治療薬の位置づけ室*圭a b s t r a c tここ数年進歩著しい分子標的治療薬が,大腸癌治療にも広く用いられるようになり,その標準的治療として組み入れられるようになった.現在,大腸癌領域において臨床導入されている分子標的治療薬は,抗血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抗体薬のベバシズマブと抗上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)抗体薬のセツキシマブ,パニツムマブである.これら有効性の証明された分子標的治療薬の臨床導入が,切除不能進行大腸癌の治療成績の向上に大きく寄与している.これらの薬剤を大腸癌治療経過中に,どのようにしてうまく使い切っていくかがきわめて重要なポイントである.今後,regorafenibなどの新規分子標的薬の上市も予定されている.ますます複雑化する大腸癌治療のレジメンを十分理解して,適切に毒性をマネジメントしていくことが望まれる.Ⅰはじめに大腸癌化学療法において,3種類の抗癌剤,すなわちフルオロウラシル(5 -FU)系薬剤〔5 -FU+ロイコボリン(LV)〕,イリノテカン(CPT -11),オキサリプラチン(L -OHP)がkey drugであり,これら3剤を化学療法の経過中にすべて使い切ることが生存期間延長に最も寄与することが明らかになった1).これらに加えて,ここ数年進歩著しい分子標的治療薬が,大腸癌治療にも広く用いられるようになり,その標準的治療として組み入れられるようになった.現在,大腸癌領域において臨床導入されている分子標的治療薬は2種類に分けられる.すなわち,angiogenesis系阻害の抗血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抗体薬とシグナル伝達阻害の抗上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)抗体薬である.前者の代表がベバシズマブ,後者の代表がセツキシマブ,パニツムマブである.KRAS遺伝子野生型であれば先に挙げた抗癌剤3剤に分子標的治療薬2剤を加えた5剤を,KRAS遺伝子変異型であれば抗癌剤3剤にベバシズマブを加えた4剤を,大腸癌治療経過中に,どのようにしてうまく使い切っていくかがきわめて重要なポイントである.最新のNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)のPractice Guideline(Colon Cancer)や,わが国の大腸癌治療ガイドラインでは2),その治療アルゴリズムのなかで,上述の抗癌剤や分子標的治療薬は,いずれも1次治療や2次治療といった順番には関係なく,治療レジメンとして経過中にすべて使い切る形で複数の選択肢が提示されている.図1A 3)は,米国の代表的な施設の1つであるMDAnderson Cancer CenterとMayo Clinicにおける大*愛知県がんセンター中央病院薬物療法部部長Current Therapy 2012 Vol.30 No.545581