カレントテラピー 30-5 サンプル

カレントテラピー 30-5 サンプル page 22/38

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直腸癌においては術後UFT群のほうが5年無再発生存期間(relapse free survival:RFS)(69%vs.56%,p=0.033),5年OS(85%vs. 72%,p=0.034)ともに有意に良好な成績が得られた.この試験におけるUFTの服薬コ....

直腸癌においては術後UFT群のほうが5年無再発生存期間(relapse free survival:RFS)(69%vs.56%,p=0.033),5年OS(85%vs. 72%,p=0.034)ともに有意に良好な成績が得られた.この試験におけるUFTの服薬コンプライアンスは投与開始後6カ月で88%,12カ月で80%と良好であった.現在本邦ではstageⅡ/ⅢのRa,Rb直腸癌を対象にUFT療法vs. S - 1療法を比較するACTS - RC試験(UMINC000000385)が行われている.また,直腸癌の予後は結腸癌よりも不良であることから,結腸癌の術後補助化学療法と同様にFOLFOXなどのL -OHP併用レジメンも検討していく必要もあると思われる.ただし,術前化学放射線療法として5 -FU+放射線治療とL -OHP+5 -FU+16放射線治療を比較したSTAR -01試験)では,術後の断端陽性率,病理学的完全奏効率においてL -OHPの上乗せ効果は得られなかったことが報告されている.OSに関しては今後報告予定である.ⅤStageⅡ結腸癌の術後補助化学療法欧米ではstageⅡの結腸癌症例のうち,深達度T4,リンパ節転移検索個数12個未満,穿孔発症例などの因子を有する例をhigh risk群とし,それ以外をlow risk群と分けて考えている.これらの予後不良因子を有するhigh risk例では,stageⅢに準じた術後補助化学療法を行う.前述のFOLFOX療法と65-FU/LV療法を比較したMOSAIC試験)ではstageⅡのDFS,OSに関して有意差は認められなかった.しかしstageⅡのhigh risk例に限定した5年DFSをみると,FOLFOX療法が82.3%,5-FU/LV療法が74.6%(HR=0.72,95%CI:0.50~1.02)と,FOLFOX群に良好な傾向がみられた.また2011年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)では,NSABPC - 05/06/07/08試験の4つの術後補助化学療3),11),17法)に関する臨床試験のデータから,5 -FU/LVにL -OHPの上乗せ効果を検討した統合解析の結果が報告された18).この結果,stageⅡ症例はhighrisk群,low risk群ともに有意なL -OHPの上乗せ効果は認められなかった.ただし5年DFS,5年OSで2.5~4.4%のL-OHPによる改善を認めており,L-OHPの併用を完全に否定するものではない.しかしこれらの再発high riskの定義は,stageⅢの5年OSが80%を超える本邦でそのまま受け入れられるものではない.現在本邦では,stageⅡを対象に手術単独群と術後UFT療法群(1年間)を比較するSACURA試験が行われており,この試験の結果によっては本邦におけるstageⅡ術後補助化学療法の必要性やhigh risk群の判別が明らかになるだろう.Ⅵ至適治療期間本邦の『大腸癌治療ガイドライン』では,5-FUベースの術後補助化学療法は6カ月投与が標準的であると記載されているが,現在のところ確定的な結論は得られていない.2003年にAndreらが報告した22×2無作為化比較試験)では,5 -FU/LV療法を24週間または36週間投与した結果,それぞれのDFSに差は認められなかった.さらにstageⅡ/Ⅲ結腸癌を対象として6カ月間のbolus 5 -FU療法と12週間の19infusional 5-FU療法を比較したSAFFA試験)では,5年RFS,5年OSともに両群間に有意差はみられなかった.一方,高齢者のstageⅢ結腸癌では術後補助化学療法の期間が5~7カ月の群は1~4カ月の群よりも生存が良好であるとの報告もある20).現在,本邦ではUFT/LVの6カ月vs. 18カ月投与を比較するJFMC 33-0502試験(UMIN C000000245)や,カペシタビンの6カ月vs. 12カ月投与を比較するJFMC37 -0801試験(UMIN000001367)が行われており結果が待たれる.参考文献1)International Multicentre Pooled:Efficacy of adjuvant fluorouraciland folinic acid in colon cancer. International MulticentrePooled Analysis of Colon Cancer Trials(IMPACT)investigators. Lancet 345:939-944, 19952)Andre T, Colin P, Louvet C, et al:Semimonthly versusmonthly regimen of fluorouracil and leucovorin administeredfor 24 or 36 weeks as adjuvant therapy in stageⅡandⅢ60Current Therapy 2012 Vol.30 No.5434