カレントテラピー 30-5 サンプル

カレントテラピー 30-5 サンプル page 19/38

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大腸癌の診療―標準治療から最新治療まで大腸癌の補助化学療法*1*2笹木有佑・濱口哲弥大腸癌の術後補助化学療法としては,2000年代前半にそれまでの標準治療であった静注5-フルオロウラシル(5-fluorouracil:5-FU....

大腸癌の診療―標準治療から最新治療まで大腸癌の補助化学療法*1*2笹木有佑・濱口哲弥大腸癌の術後補助化学療法としては,2000年代前半にそれまでの標準治療であった静注5-フルオロウラシル(5-fluorouracil:5-FU)+ロイコボリン(leucovorin:LV)療法と,経口のテガフール・ウラシル(tegafur・uracil:UFT)+LVやカペシタビンが同等であることが示された.その後stageⅢ結腸癌に対して5-FU/LVにオキサリプラチン(oxaliplatin:L-OHP)を併用することの有用性が示され,2009年にはFOLFOX療法,2011年にはXELOX療法も国内で保険適用となった.しかし,術後補助化学療法としてstageⅢ全例にL-OHP併用レジメンを用いるかは慎重に判断する必要がある.現在のところ,分子標的治療薬の併用が生存期間を改善するデータは得られていない.また,下部直腸癌やstageⅡ症例は欧米と治療戦略が異なるため,本邦独自のエビデンスの確立が必要である.至適治療期間に関しても確定的な結論は得られておらず,現在行われている臨床試験の結果が待たれる.Ⅰはじめに術後補助化学療法とは,根治切除が行われた症例に対して遺残する微小転移を根絶することで再発を抑制し,予後を改善する目的で行われる全身化学療法である.術後補助化学療法においては,1990年代に欧米から5-フルオロウラシル(5-fluorouracil:5-FU)+ロイコボリン(leucovorin:LV)療法が標準治療として確立して以降,数多くの臨床試験の成績が報告されている.しかし本邦の大腸癌の手術成績は欧米よりも良好であり,欧米のエビデンスを直接本邦の臨床現場に導入することには慎重に検討すべきである.本稿では国内外の臨床試験の成績を基に,本邦における標準的術後補助化学療法について,筆者の見解を示す.Ⅱ結腸癌の術後補助化学療法欧米では1990年代に,stageⅡ/Ⅲ(Dukes’B/C)の治癒切除例を対象とし,5 -FU/LV療法の効果を検討した試験の成績が相次いで報告された.術後5-FU/LV療法群を手術単独群と比較したIMPACT1研究)や,それまでの標準治療であった5 -FU+レバミソール(levamisole:LEV)療法と比較したNSABP C -04試験などの結果から,5 -FU/LV療法の6カ月投与は生存期間(overall survival:OS)延長の効果が示され,標準治療として確立した.5-FU/LVの投与法に関しては,2003年にDukes’B/Cの治癒切除結腸癌を対象としたde Gramont法(infusional5 -FU)vs. Mayo法(bolus 5 -FU)の無作為化比較試験(randomized controlled trial:RCT)の結*1国立がん研究センター中央病院消化管内科*2国立がん研究センター中央病院消化管内科病棟医長Current Therapy 2012 Vol.30 No.543157