カレントテラピー 30-5 サンプル

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外科治療AProportion disease-free全生存曲線1.00.80.600 1 2TimeNo-touch isolationB肝転移無再発曲線1.00.80.6Proportion disease-free03 4 5(年)0 1 2 3 4 5(年)TimeconventionalNo-touch isolation conventi....

外科治療AProportion disease-free全生存曲線1.00.80.600 1 2TimeNo-touch isolationB肝転移無再発曲線1.00.80.6Proportion disease-free03 4 5(年)0 1 2 3 4 5(年)TimeconventionalNo-touch isolation conventional図1切除手順別の生存曲線〔参考文献19)より引用改変〕technique:NTIT法),Turnbullらは1967年,従来法とNTIT法を比較したデータを発表した18).NTITにより予後の改善効果が示唆されたが,この報告はあくまでレトロスペクティブな結果で,NTITの優位性のエビデンスとしては不十分であると考えられたため,Wiggersら19)はNTIT法と従来法を比較する前向き試験を行った.これまでで唯一のRCTであるその結果は,NTIT群,特に血管侵襲陽性のS状結腸癌で肝転移率の低下傾向が認められたが有意差はなかった.また,生存率もNTIT群のほうが高い傾向にあったが有意差は認められず,NTITの生存期間に対する効果は限定的であったと結論された.しかし,全生存曲線,肝転移無再発曲線をみてもNTIT群が対照群と交差せずに常に優れており,パワー不足で有意差が認められなかったことが推測される(図1)19).日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)ではstageⅡ・Ⅲ結腸癌を対象に従来法vs. NTIT法の比較試験を2011年6月より開始した.基本手技を変えるだけで予後の改善が可能となるのであれば臨床的な意義は大きく,結果が待たれるところである.Ⅴ適切な腸管膜切除とリンパ節郭清の範囲現在日本では従来より層に沿った腸管膜剥離とstageⅡ,Ⅲの場合には主幹動脈根部まで行うD3郭清を標準手技としている.欧米よりも多くのリンパ節を郭清・検索し,その結果,各ステージの治療成績が10~20%上回っている20).欧米からも多くの研究によりリンパ節検索個数そのものがstageⅡ期とⅢ期の予後に直接影響することが報告されている20),21).リンパ節郭清・検索個数が増えるにつれて生存率が向上する理由として,1正確なステージングによるstage migration効果,2リンパ節郭清による直接の治療効果,などが考えられる.患者背景を層別しても治療成績が向上している場合,stage migrationの可能性を疑う必要がある.これは同一症例でもステージ分類が異なるために生じるバイアスである.具体的には,不十分なリンパ節郭清や術後標本の取り扱いにより,本来存在するリンパ節転移が病理学的に証明されず,正確なstage診断ができないというunderstagingの可能性である.Understagingが患者にもたらす最大の不利益は,有効性が証明されている術後補助化学療法の機会を奪うことである.1997年から2000年までに大腸癌術後フォローアップ研究会に参加した18施設から集積した大腸癌根治度A切除症例の検索されたリンパ節個数(平均19個)を四分位に群分けし,現行のN分類によって層別化すると,リンパ節個数12個未満の層においては,N stage間の予後識別能力(c-index)が極端に低下していた(図2)22).これにより,リンパ節12個未満ではunderstagingが発生していることが推察される.一方,リンパ節郭清の直接の有用性を示すためにはRCTが必要であるが,これまでに臨床的エビデCurrent Therapy 2012 Vol.30 No.540733